2025/1/22
取材レポ
この舞台は、現在放送中の朝ドラ『おむすび』をモチーフに、孤独で寂しい思いを何度も味わった女性が、運がついてるついてないなんて自分次第だと気づき、自分を見守ってくれる多くの人たちを巻き込みながら、そして縁を結びながら、懸命に生きていくさまを描いた群像劇。
演出家の福谷圭祐を先頭に、会場に姿を現した出演者たち。オーディションで主演に抜擢された木下桜をはじめ、山﨑千惠子、水田詩織(NMB48)、多和田任益(梅棒)、島田珠代が、作品での役柄を説明しながら挨拶した。
前週から稽古がスタートし、出演者のほとんどが初対面だったそうだが、主演の木下と祖母役の山﨑だけは10年ほど前に1回、接点があったとか。2人は「こんなタイミングでご縁がめぐりめぐるとは……」と感動を隠せない様子。
今回が初舞台となる水田は共演者との顔合わせの際、とても緊張していたそう。そんななか、珠代が自己紹介でパンティーテックスを披露したことを暴露すると、珠代は「思ったより盛り上がらなくて後悔したんやから~」と振り返って笑いを誘った。
一方、ダンスエンターテインメント集団「梅棒」のメンバーである多和田は大阪出身。今回、関西が舞台の作品に出演することについて「ホームに帰ってきた気分」と笑顔をみせる。
作品について木下は「家族の物語で、自分にとっても身近なテーマ。家族と向き合うきっかけになる素敵な台本」とコメント。それを受けて演出の福谷が、こう説明する。
「(脚本家の)タカイアキフミの作品で、朝ドラの『おむすび』がモチーフ。平成、令和の時代の大きなうねりに翻弄されながら頑張って生きる1人の女性の姿を通じて、観客も当時を振り返りながら自分に起きた出来事のように追体験できる作品です」
また、山﨑が「作品タイトルに倣って、みんな、自宅からおむすびを作って持参して食べています」と稽古のエピソードを披露すると、珠代は「山﨑さんが演じるおばあちゃんが本当に優しくて、素晴らしい。もちろん、皆さんの演技も素晴らしいので観に来てほしい!」とアピールした。
そのほか、本作にかける意気込みや役どころなどをそれぞれ次のように語った。
「主人公と私は同年代。『ついていない』が口癖でひとりぼっちだと感じていますが、家族やみんなが『ついている』ことに気づきます。家族とのかかわりは自分とも通じる部分がありますし、改めて周囲のありがたみを感じ、もっと頑張ろうと勇気づけられました」(木下)
「私自身がまだ経験したことのない年代の役(主人公の祖母役)を演じるので、いろんな人を見て学びながら、想像と感性をフル回転させて演じ切りたいと思っています。また、この作品で描かれていることは私が自分の人生で大切にしていることにも通じています。『生きていることを喜びましょう』――そんなメッセージを重くなりすぎずに伝えて、観た人たちが『ああ、ほんまやなぁ』って思えてもらえたら嬉しいですね」(山﨑)
「主人公の幼馴染を演じますが、友情と恋愛に挟まれて、心無い言葉を投げかけるシーンがあって。ひどいこと言うなぁ、と思いつつ演じています(笑)。関西らしい面白いシーンも多いのでぜひ楽しんでご鑑賞ください!」(水田)
「主人公の叔母で、男運のない役を演じています。私にも姉がいますし、大事な話の相談相手って親友ではなく母親でしたし、共通点が多いです。泣き虫な私は感情移入しちゃってすぐ泣いちゃうので、福谷さんからは『泣かないで」とよく注意されています(笑)。ギャグをいっさい封印して舞台に立つのは初めてのこと、『珠代ちゃんもみんなと足並み揃えられるんやなぁ』『女優さんなんだな』って見直してもらえたら嬉しいです!」(珠代)
「主人公の先輩役で、厄介ではありますが、登場人物たちの結びつきを深める大切な存在です。台本を読んで、最初は『まじ最悪なやつかも』と思いましたが、僕なりに彼を理解して人間臭さを描けたらと思っています」(多和田)
「出自も演技の文脈もバラバラなみんなが集まって作り上げるので不安もありますが、それぞれの個性を光らせながら、いまはまだヒッチャカメッチャカですが、ひとつにまとめていきたいと思っていますので、お楽しみください!」(福谷)
『舞台小説 ついてる!
~めぐりめぐる、おむすび~』
■作
タカイアキフミ(TAAC)
■演出
福谷圭祐(匿名劇壇)
■出演
木下 桜
山﨑千惠子
水田詩織(NMB48)
南川泰規
東 千紗都(匿名劇壇)
永津真奈
木内義一
多和田任益(梅棒)
島田珠代
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|日時|2025/02/12(水)~2025/02/16(日)≪全7回≫
|会場|COOL JAPAN PARK OSAKA SSホール
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