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【森田剛・間宮祥太朗インタビュー到着!!】初共演で「湿度の高い」赤堀雅秋作品に挑戦。「俺生きてていいんだな」と思える世界観

2024/8/8

インタビュー

Bunkamura Production 2024 『台風23号』

何気ない日常を送る人々の感情を赤裸々に暴きつつ、ユーモアを忘れない作風で惹きつける赤堀雅秋。『殺風景』『世界』といった数々の舞台、『葛城事件』など異彩を放つ映画を発信し、俳優たちからも絶大な信頼を得ている。そんな彼の新作に、初共演の森田剛と間宮祥太朗がダブル主演。このトライアングルの刺激的なタッグに、大きな注目が集まっている。まだ台本は完成していない段階だが(取材時)、赤堀と対面した二人は「妙な安心感がある、不思議な人」(森田)、「ストレートに会話できる、嘘がない人」(間宮)と、すでに赤堀の魅力に取り込まれている様子。台風が迫るとある町で、何が起きるのか。本作に臨む思いを聞いた。

――まず『台風23号』というタイトルの第一印象から教えてください。

森田「台風が来るかもしれないし来ないかもしれない、どちらなのかわからないな、となにかワクワクするような感じがしましたね」

間宮「赤堀さんが作る作品は、個人的に湿度が高いと感じていて、このタイトルを聞いたとき、まさに湿度が高く不穏な感じがして、赤堀さんらしいなと思いました」

――赤堀さんの作品には初めて参加されますが、これまでの舞台や映画をご覧になって特に惹かれるところは?

森田「わかりやすく言うとクズの人が登場しますけど(苦笑)、そういった部分は誰の中にもあると思うし、僕の中にもやっぱりある。だからすごく人間っぽくてチャーミングで、妙な安心感があります」

間宮「登場人物が結構生々しく、事件的なことも目の前で起こっているような、近いところから同じ目線で目撃しているような感覚になるところですね」

――お二人は初共演ですが、初めてお会いしたときと現在の印象は変わりましたか?

間宮「剛さんは全く喋らない方だと思っていたけど、この間の食事会で変わりました」

森田「変わった!?」

間宮「寡黙で必要最小限しか話さない方だという前情報があったけど、違いました!」

森田「もっと緊張するかと思ってたから」

間宮「僕にですか!?」

森田「そう、初めて会うし(笑)。でもそういうのを取っ払ってくれて。“初めまして”じゃない感じがして、だから余計に話したのかもしれない」

――台本はまだ完成していないそうですが、現状 (7/24時点) の役柄や役の関係性についてお聞かせください。

森田「義理の兄弟なんだよね。弟(間宮)にお金を借りていて」

間宮「2万円!」

森田「そう、その2万円がでかいんだろうなって。弟に弱みを握られている感じがするし。一方で女たらしのようなところもあります」

間宮「僕の役は、生まれ育った町から出たいと思っているけど、東京に出る勇気もなくて。現状に不満があるけど自分から変える気力はなく、何か変わらないかと、大きな事件が起きて現状がぶっ壊れないかと思っているような人物です」

――お二人がこれから演じていくなかで、どんな化学反応を起こしたいと思いますか?

森田「兄弟の関係性といってもその距離感は色々あると思う。そのなかで間宮くん演じる人物に影響を受けたいですし、そこで自分はどうなるのか、という楽しみがあります」

間宮「こうやって一緒に取材を受けているのと、舞台上で対峙するのとでは緊張感が違うと思うのでワクワクするし、そこをビビッドに感じながら一緒に舞台を作れたらと思っています」

――赤堀さんは「何者でもない人の人生を飾り立てることなく描き、そこから俯瞰して世界を臨むような創作を心がけてきた」と、コメントを寄せています。そういった作品から人間の負の部分だけではなく、希望のようなものも感じますか?

森田「希望は感じます。赤堀さんにお会いしたとき、『ああ、俺生きてていいんだな』と思いました。そう感じさせるキャラクターが多い気がしますね」

間宮「色々なことを抱えた人物が出てくるけれど、観ているときに『えらいなあ』という気持ちになれる。それぞれの尺度で色々な問題が起きて、それこそ『生きてて必死』ということをすごく感じ、ポジティブな思いになれます。不思議な感覚ですよね」

――ちなみに最近、「人間のココが愛おしいな」と感じたことなどありますか?

森田「自分の好きなものに対して真っ直ぐな人、それを突き詰めている人が僕は素敵だなと思っていて。一方でそういう人って極端だから、好きじゃないことはできなかったり、疎かになったりするんですよね」

――森田さんご自身はそういうタイプではないですか?

森田「そういうタイプかもしれません(笑)」

間宮「(笑)。僕は東京を拠点に仕事をしているからかもしれないですが、自然の中で仕事をしている人にすごく惹かれます。この間、夏場は鮎など川魚を獲り、冬場は猟銃でクマやイノシシを獲って生活をしている方に川釣りに連れていってもらい、自然と対峙する話を聞いて、愛おしさというか、人と自然との関わりの奥深さを感じました」

――これまでの赤堀作品も、“自然”が大きな要素になっていたりしますね。お二人が遭遇した、忘れられない自然の脅威などはありますか?

森田「ちょうどこの間、店を出た瞬間に雷がゴロンと鳴って怖かったです。沖縄に行ったときの台風も怖かった」

間宮「幼いころ、祖父母とのアメリカ旅行でセスナ機に乗ったとき、積乱雲の中に入ってものすごく機体が揺れ始めたんです。するとパイロットが英語で、『ベストは尽くすけど覚悟して』みたいなことをアナウンスで言っていると祖父に言われて…」

森田「え!」

間宮「もう自分ではどうすることもできないなと思いました(苦笑)」

――自然の前ではそのように感じてしまいますね。ところで森田さんも間宮さんも映像だけではなく、舞台にも果敢に挑戦されていますが、舞台を活動のひとつとして選ばれている理由は?

森田「鮮度ですかね。日常のなかでは慣れやなあなあになってしまうことがあるけど、舞台には緊張や恐怖があり、それが楽しいと思ってやっています。普段が適当なので、舞台のときぐらい緊張したいし、自分に刺激を与えたい」

間宮「舞台はテレビドラマなどとはお客様の払う対価が違うから、その空間で対峙する気概みたいなを持ってこられていると感じます。視線の圧みたいなものを感じるし、刺激的ですよね」

森田「そう、押しつぶされそうになるぐらい。でもそれは舞台をお客さんと一緒に作れている、ということなのかなと。その視線や空気を僕たちはコントロールする楽しさもあるし。すごい熱をもって来てくれるけど、その熱をつかんでいないときは、そっぽを向かれるのも感じます」

間宮「わかります。つかもうとしても指の間からこぼれ落ちていくときもあれば、誰かの発した台詞でお客さんの集中度が二段階ぐらいガンガンって上がるときもあって。日によって全然違います。それに舞台は稽古も本番も、反復することによって発見があり、同じことをやっていても、絶対同じにならないおもしろさを感じますね」

――最後に、さまざまなエンタテインメント作品を生み出すうえで、大切にされていることを教えてください。

間宮「僕は作品を生み出しているとは思っていなくて。今回なら、生み出しているのは赤堀さんで、僕はその脚本から自分なりに感じたメッセージを、自分の身体や精神を通してどう具現化し、お客さんに渡していくか、ということを考えています」

森田「僕はいろんな役の自分になったとき、(監督や演出家の)想像を超えていきたい。そこにやりがいを感じます。さらけ出すことが恥ずかしかったり、怖かったりもするけど、そこで自分自身がむしゃらになれたら、それを観た人は何か感じてくれることがあるのかなと思っています」

取材・文:小野寺亜紀
撮影:渡部孝弘

 

Bunkamura Production 2024
『台風23号』

■作・演出
赤堀雅秋

■出演
森田剛、間宮祥太朗、木村多江、藤井隆、伊原六花、駒木根隆介、赤堀雅秋、秋山菜津子、佐藤B作

▶▶オフィシャルサイト

大阪公演

|日時|2024/11/01(金)~2024/11/04(月・祝)
|会場|森ノ宮ピロティホール
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愛知公演

|日時|2024/11/08(金)~2024/11/09(土)
|会場|穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール(愛知)
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