2024/8/1
公演レポ
「走り出したら止まらない」を合言葉に、1986年結成から38年間走り続けてきたTHE CONVOY SHOW(ザ・コンボイ・ショウ)。今村ねずみが立ち上げたこのスーパーエンターテインメントバラエティパフォーマンス集団が、ついにラストラン・ショーを開幕した。大阪公演COOL JAPAN PARK OSAKA WW ホール8月10日(土)、11日(日祝)を前に、東京公演の初日をレポートする。
始まる前から会場は期待の熱気に包まれ、グッズ販売にも長蛇の列ができていた。コンボイプロデューサー今村明宏がマイクを持って登壇し、開演に先立つ案内をインフォメーション。初っ端から観客への親しいもてなしが感じられ、今日ここで彼らと共に時間が過ごせることにワクワクが高まる。
幕が上がると、会場から大きな拍手が沸き起こった。オープニングは、コンボイオリジナルメンバー、瀬下尚人、石坂勇、舘形比呂一、徳永邦治、そして今村の5人による「乾杯の一杯目はなにを飲むか?」の大議論。芝居なのか、本人のプライベートのままなのか、フィクションとノンフィクションを行き来するようなやり取りにあちこちから笑いが起き、ステージと客席の一体感が早くも表れていく。
そして始まる、パフォーマンス集団のオーディション。オーディションを受験するのは若手側ではなく、5人のおっさんたちのほう!還暦を過ぎた面々にどこまでできるのかといぶかしむが、鍛錬された身体能力や演技のみならず、積み重ねてきた人生から醸し出される人間味に次第に圧されていく若手たち。
「もしかして、皆さん、グループですか!?」
「YES!WE ARE THE CONVOY!(魂BOYS)」
本田礼生、伊藤壮太郎、荒田至法、佐久間雄生、加藤良輔、帯金遼太、古賀雄大、川原一馬、塩田康平、一条俊輝、10人の精鋭と、5人のオリジナルメンバーが入り乱れるダンス&ソング。今回ラストランのナンバーは全曲オリジナルで構成され、随所に見せ場が盛り込まれた。「全員が主役で、全員が脇役」を宣言し続けてきたTHE CONVOY SHOW、ダンスのセンターとバックの立ち位置は常に変動し、若手もおっさんも関係なく激しく踊りまくる。今村がアカペラで歌うジャジーなメロディに、タップダンスのはじける音がリズムを付けたり、歌のハモりを次から次へと重ねていったりと、だれか一人がそれだけを成功させるのもかなりの難易度なのに、THE CONVOY SHOWではあらゆる場面で全員の達成が求められる。「全員が主役で、全員が脇役」とは、つまりはそういうことで、一人一人が発光する宝石でステージの一瞬一瞬を創り上げるのだ。
芝居のセリフは今村による<アテ書き>要素がたっぷり。ファンにはたまらない俳優一人一人のネタが端々に見受けられ、たびたび客席がドッと湧く。一方で、素の彼らを反映したセリフだからこそ、若手の発するピュアな言葉に先輩陣(おっさんたち)がきゅんと胸を射抜かれたような表情を見せることもあり、心情が見る者にも伝わって共感を揺さぶられる。役名は全員がそのままの名前だ。ノンフィクションから立ち上がるフィクション、フィクションから姿を現すノンフィクションと、この不思議な感覚に陥らせる作品はそうそうほかにない。
笑わせてくれることも、もちろん忘れていない。物語が進むにつれ、思わず吹き出してしまうネタがてんこ盛り。劇中劇の配役が瞬間に入れ替わる場面などは目で追いかけるのも必死!観客も俳優たちと同じだけ汗がかける感じだ。
20歳から66歳までが一斉に全力疾走するTHE CONVOY SHOW。容赦は一切なし。参加する者が「役者として鍛えられる場」「ほかでは経験できない成長の場」「根本的な芝居の熱量を学べる場」と言うそうだが、彼ら自身がそうとらえる理由がよくわかる気がした。
長く応援してきた人には感慨深く、初めての人にはとことん刺激的。どこが見どころか分離できないほど、隙間なき見どころの連続。繰り返すが、ラストランである。ここまで渾身のTHE CONVOY SHOWは二度とない。いまを見逃さないよう、劇場に集ってほしい!
取材・文:丸古玲子
撮影:鈴木竜一朗
THE CONVOY SHOW vol.43
『ONE DAY〜Last Run! Run!! Run!!!〜』
■作・構成・演出
今村ねずみ
■出演
瀬下尚⼈ ⽯坂勇 舘形⽐呂⼀ 徳永邦治 /
本⽥礼⽣ 伊藤壮太郎 荒田至法 佐久間雄生
加藤良輔 帯⾦遼太 古賀雄⼤ /
川原一馬 塩田康平 一条俊輝 / 今村ねずみ
▶▶オフィシャルサイト
|日時|2024/08/10(土)~2024/08/11(日・祝)≪全2回≫
|会場|COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
▶▶公演詳細