詳細検索
  1. ホーム
  2. KEPオンライン
  3. 円熟味とチャレンジ精神の両輪が織り成す圧巻の歌声が響き渡る
詳細検索

KEP ONLINE Online Magazine

円熟味とチャレンジ精神の両輪が織り成す圧巻の歌声が響き渡る

2024/7/11

インタビュー

石川さゆり コンサート2024

演歌・歌謡曲に軸足を置きつつ、ジャンルを超えた様々なミュージシャンと積極的にコラボし、自らのさらなる可能性を追求し続けるデビュー52年目の石川さゆり。『津軽海峡・冬景色』『天城越え』といったヒット曲から、自身が出演した映画『PERFECT DAYS』の劇中歌として話題になった『朝日楼』までをフルバンド編成による演奏とともに贈る7月14日(日)開催の恒例の大阪フェスティバルホールにおけるコンサートを前に思いの丈を聞いた。

――私事ながらこの業界で仕事を始めたのが1972年。石川さんとはかれこれ50年以上の長いお付き合いとなりました。デビュー曲の『かくれんぼ』はいわゆるポップなアイドルソングでした。衣裳などもアイドルのようでしたね。

「私が歌手を志したきっかけは、子供の頃に島倉千代子さんの大ファンだった母に連れられて、島倉さんのステージを観て感動したこと。でもデビュー当時はまだ年齢も若かったし、大人っぽい曲はまだ早いと判断されて『かくれんぼ』が選ばれたのでは。それに歌謡曲はアイドル歌手全盛の時代でもありましたから」

――6月19日発売の新曲『とこしえの旅』についてお聞きします。作曲は加藤登紀子さんです。

「加藤さんには『残雪』も書いていただいています。作詞の松井五郎さんとは今回が初めてですが、私とは同世代であり、同じ時代の景色を見てきた仲間として気持ちが通じ合えました。旅を人生と重ねた新曲は、淋しさや切なさにそっと寄り添える優しさをこめた一曲になっています。今年の初めに能登半島地震が起きて大きな被害をもたらしました。私にとって1977年に『能登半島』という楽曲を出してご縁が深い場所であり、現地に伺いました。海など美しい景色は昔のままでも、ふと横を見ると倒壊した家屋。そんな複雑でやりきれない思い、そして私のような小さな一人の人間ができることはなんだろうといった感情などがこの曲に繋がっており、復興に向けて大切に歌っていこうと思っています」

――カップリング曲は『朝日楼』。一般的には『朝日のあたる家』のタイトルで知られるアメリカの古い民謡ですが、石川さんは浅川マキさんの歌詞で歌っておられます。

「昨年12月に日本で公開された役所広司さん主演の映画『PERFECT DAYS』の劇中歌で、私が居酒屋の女将役で出演しており、その時に歌った曲です」

――NHK大河ドラマ『麒麟が来る』の記憶も新しいですが、この先映画やドラマへの出演の意欲はいかがですか。

「実は私、歌手デビュー前にTVドラマ『光る海』(石坂洋次郎原作)に出演しました。当時はバラエティも含めてなんでもやらされていた時代でしたから(笑)。今後もいいお話があればやってみたいですね」

――石川さんは今や演歌・歌謡曲に留まらず、あらゆるジャンルの曲を歌い、色々なミュージシャンとのコラボに意欲的です。

「ひとことで言えば音楽は自由なんです。でもそれに気づいたのは年齢を重ねてから。阿久悠先生によく言われたのは『ニュースを見て新聞を読んで、世の中で今何が起きているのかを知りなさい』と。歌は世につれとの言葉がありますが、歌や音楽は身近な文化であり、視野を広くして見聞を深め、時代に即して伝えていく役目があるとの意味です。そんな阿久先生をはじめ、長年私に曲を書いてくださった作詞家、作曲家の先生方が次々に亡くなり、どうしようかと困ったのは事実ですが、それがひとつのきっかけになり、椎名林檎さんや奥田民生さんら新たな方々とお仕事をするようになりました」
 

――長年第一線で活躍されている石川さんに改めてお聞きしますが、プロ歌手の定義と歌う時に心がけていることはなんですか。

「探求する気持ちをなくさないことかな。新たなチャレンジは必要ですが、その一方で古き良き伝統や日本の美意識は大切に守らねばとも思います。それと私なりの曲のイメージ作りは、歌詞からこれまで読んだ小説や観た映画のシーンに思いを馳せます」

――今年のコンサート活動は、1月の大阪・森ノ宮ピロティホールからスタート。そして恒例の大阪フェスティバルホールでのコンサートも決まりました。

「森ノ宮ピロティホールは音楽仲間4人とのアコースティック編成でしたが、フェスティバルホールはフルオーケストラとともにお届けします。大阪のお客様は反応が早く、掛け声もストレートで楽しい。フェスティバルホールは私にとって思い出がいっぱいある大好きなホール。今回も私自身の思い出作りを楽しみますから、皆様も大いに盛り上がってください。歌は娯楽のひとつではありますが、生活の支えになったり、背中をさり気なく押したりといった効果もあると思います。その気持ちを忘れずに、1曲1曲皆様の心に寄り添いつつ歌いたいと存じます。ぜひお越しください」

取材・文=石井誠

 

石川さゆり コンサート2024
<フル編成コンサート>

|日時|2024/07/14(日) 15:00
|会場|フェスティバルホール

▶▶オフィシャルサイト
▶▶公演詳細

一覧へ戻る