2024/4/1
取材レポ
欧州アイルランドで誕生した驚異的な舞台作品・Riverdanceが久々の来日公演を開催する。Riverdanceは、上半身を直立の姿勢のまま動かさずに、タップやステップ、ジャンプといった下半身の動きだけで人々を魅了していく個性的なダンス。これまでに49ヵ国1万5,000公演を開催しており、今年5月に25周年ツアーが東京と大阪で開催される。実に9年ぶりとなる来日公演を前に、東京・代々木公園で行われたグリーンアイルランドフェスティバル2024のメインステージに、Riverdanceのチームが登場。圧巻のパフォーマンスで観客を魅了した。
ステージにプリンシパルダンサーのボビー・ホッジスが現れると、観客からは青空に響くような拍手が起こる。ボビーは、「25周年の記念ツアーでは、さらにパワーアップしたショーになっています。その素晴らしいショーの一部をご覧いただきたいと思います」とあいさつし、キーヴァ・コリーを筆頭とした女性ダンサーによる「アンナ・リヴィア」を披露する。
キーヴァは、アイルランドらしいアイリッシュ・グリーンの衣装に身を包んで登場。パワフルにステップを踏みながら、リズムに合わせて靴音を響かせる。「アンナ・リヴィア」は、アイルランドの作家ジェイムズ・ジョイスの小説『フィネガンズ・ウェイク』の言葉を引用して作られた楽曲で、女性賛歌として表現されており、足技によって繰り出される力強いリズムとともに、ステップの華麗さからは女性らしさを感じさせる。
両サイドから6名の女性ダンサーが加わると、靴音の響きはさらに加速。フォーメーションもVやラインなどくるくると変化しながらも、全員が一糸乱れぬステップを繰り出しており、揃った靴音は圧巻だ。
中盤でテンポアップし、キーヴァが笑顔を絶やすことなく超絶ステップを踏むと、観客からは思わず歓声が上がる。キーヴァに続いて他のメンバーも難易度の高いステップを踏み、ステージはクライマックス。中央のキーヴァがブロンドヘアーをかきあげると、太陽の光で髪がキラキラと輝き、あれだけ激しい足技を繰り広げていても、上半身が全くブレていないことに驚かされる。ラストは全員がステージ前方にステップを踏みながら整列し、キーヴァが大きく両手を広げてフィニッシュ。素晴らしいステージの終幕に、一瞬の刹那が訪れた後大きな拍手と歓声が上がる。拍手の中、くるりと爽やかにターンすると、キーヴァら女性ダンサーは軽やかにステージを後にした。
パフォーマンス後、日本公演に向けた想いなどをプリンシパルダンサーのボビーに話を聞いた。
ボビーは「いつもパフォーマンスを集中して観てくれて、それが僕らはとても嬉しいんだ。終わった瞬間にエキサイトして声援を送ってくれて、本当に感謝しているよ」と、日本のオーディエンスの印象を語り「僕は14年ツアーを回っているけど、日本が1番好きな場所って言っても過言じゃないくらい、大好きな場所さ」と、日本での公演を楽しみにしている様子。
そして、Riverdanceの魅力を「ベースとなるアイリッシュステップダンスの速さも難しいし、上半身を動かさないという特徴的なところとバランスを取るのも難しいところで、そして全員が同じレベルで成長しなきゃいけないところも大変。だけど、Riverdanceはアイルランドの文化を紹介していくというポリシーがあって、ステージが進んでいく中でアイルランドの文化の中にどんどんと没入していくような感覚になれるのがすごく楽しいんだ」と語り、アイルランド文化を体現していくことこそが楽しみであり、醍醐味だと話す。加えて、「個人的には、ジャンプしたときに自分にスポットライトが当たるとエキサイティングな気持ちになるね。僕のターンだ!って(笑)」と個人的な興奮ポイントをはにかみながら答える。
そして、公演に向けて「Riverdanceはずっと成長し続けるステージ。新たな衣装やライティングだけでなく、新しいアーティストやダンサーなど、新鮮なエネルギーを持ってきてくれるメンバーも増えました。ぜひ、日本でのパフォーマンスを期待していてください」とアピールした。
TEXT:宮崎 新之