2024/1/25
インタビュー
――家出をモチーフにした作品ですが、三浦さんの演劇愛も込められています。どうして家出と演劇をつなげようと思ったのでしょうか?
三浦「主人公の箒が家出した先で、どんなものと出会うといいだろうと考えた時に、現実から虚構に家出する物語を描こうと最初に思いました。現実の生活に疲れて逃げ出した先で、物語に出会って、そのことによって箒自身が変化して、またどこかに帰っていくという物語を作りたいと。あと、パルコ・プロデュースでオリジナル作品をやらせてもらうのも初めてなので、10年以上、自分が作ってきた演劇への思いなども一緒に乗せられたと思って、この物語を作ろうと思いました」
――高城さんは、台本を読まれてどういう印象を持たれましたか?
高城「すごく面白かったです。(演じる)箒ちゃんは私と真逆なところもあるけど、同じようなところもあって、三浦さんにそこまで私のことを話していなかったのに私が幼少期に抱いていた気持ちとかが盛り込まれていて、なんで知っているんだろうと思ったぐらい、リンクしている部分があって。母と読み合わせをしたのですが、より箒ちゃんのことが好きになりました。内容はちょっとファンタジーで、あり得ないようなこともあるのですが、現実世界にあってもおかしくない、違和感なくすっと入り込めるというか。生活に近しいワードばかりなので、私もそうですけど、お客様もこの作品が近い存在になるんじゃないかなって、今からすごくワクワクしています」
――箒というキャラクターは高城さんにあてがきされたそうですが、高城さんに期待されていることは何ですか?
三浦「箒は基本的に内気な女性。自分の居心地のいい場所をずっと探し続けている女の子です。ただ、その内気さが気弱な感じに見えすぎてももったいないなって思っていて。内気なんだけど、ちゃんと自分の芯は持っているし、強さも持っている。高城さんなら、そのバランスを両立させてくれるのではないかなと思って書いています」
高城「今、三浦さんがおっしゃったように、台本を読ませていただいて、箒ちゃんの芯の強さをものすごく感じました。ももいろクローバーZとしても舞台や映画をやらせていただくのですが、私は弱気な役柄が多くて。私自身も内向的だったというのもあるのですが…。自分ともう1回、向き合いながら、箒ちゃんと照らし合わせながら、どういうふうに箒ちゃんに寄り添えばいいのか考えながら役を作っていきたいなと思いました」
――2023年はももいろクローバーZ結成15周年で、高城さんは6月に30歳のソロコンサートを開催されるなど、メモリアルイヤーでした。そんな1年を経て2月に公演が開幕します。本作への出演は必然か、偶然か。高城さんはどう思われますか?
高城「必然だったと信じたいです。結成15周年や30歳の節目を迎えてから演じる『最高の家出』は、自分の自信につながるいいきっかけになるんじゃないかな、なったらいいな、そうできるように頑張りたいなと思いますし、ずっと夢だったんですよ。なので、今回は私にとって人生の宝物になるような経験になるのではないかなと思います」
――最後に一言ずつメッセージをお願いします。
高城「自分の居場所ってどこだろうとか、本当の自分って何なんだろうと思うことが、私も今までもたくさんありましたし、これからも自分の中での葛藤がすごくあると思います。そんな時にふと思い出してもらえるような作品になるのではないかと思いますので、何回も楽しんでもらえたら。観てくださる方々が“遊園地みたいだな”と思ってもらえる作品になったらいいなと思いますし、そうなると思うので、たくさんの方々に見ていただきたいなと思います!」
三浦「“遊園地”というのは、すごくいい言葉だなと思ったので、僕もそこを目指したいと思いました。演劇に限らず、エンターテインメントの場に足を運ぶとき、僕はいつも短い家出のような気分で出かけます。今、自分がいる場所からちょっと離れた場所に行って、ちょっと非日常の時間を味わって、また家に帰って、「よし、また明日から頑張ろう」と思っているので、ぜひ、観に来てくださる皆様も”ちょっと家出しよ“という気持ちで来てもらって、そしてそれぞれの場所に帰って行ってほしいなと思います」
TEXT:岩本和子
パルコ・プロデュース 2024「最高の家出」
■作・演出
三浦直之(ロロ)
■出演
高城れに(ももいろクローバーZ)
祷キララ 東島京
板橋駿谷 亀島一徳 篠崎大悟 島田桃子 重岡漠
尾上寛之
▶▶オフィシャルサイト
|日時|2024/03/09(土)≪全2回≫
|会場|森ノ宮ピロティホール
▶▶公演詳細
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