2023/8/10
インタビュー
リーダーのshojiは言う。「武道館だけだと東京にみんな来てよってことになっちゃう。それなら自分たちからみんなに会いに行こう、そしてより近くに感じてもらえるライブハウスに行こうよという思いで、今回はライブハウスツアーで全国7都市に行くぜ!と」。kazukiが続ける。「でも、武道館とツアーは中味が全然違う。武道館は15周年の集大成みたいな、シットキングスです!というパフォーマンスだけど、ツアーはみんなで踊ろうぜ!というライブになってます」。それはまた、踊れない人も楽しめるライブでもある。
タイトルの『踊ピポ』は『踊れピーポー!』の略だ。シットキングスの「日本中を踊らせたい!日本中の人たちと踊りたい!」という希望を込めた。シッキンはストーリー性のある舞台が特徴的だが、今回は生バンドを引き連れてのダンスライブ。音楽ライブは一般的だが、ダンスライブはあまり知られていない。踊れる人だけが対象と思われないようシッキンはコンセプトを決めた。宇宙光線“オドレナクナール”が地球上に降り注ぎ、全員が踊れなくなった、という設定だ。だから会場のZepp Nambaに入った時点では、みんな踊れない。「そこから始まろうと。そして帰りに気付いたら、あれっ?めっちゃ踊ってたんじゃない?みたいになるライブにしたいんです」(shoji)。といって、終始座席に座る暇なし、なんてことはない。「じっくり観てもらう瞬間もあるし、みんなが立ち上がって一緒に楽しむ瞬間もあるし」(shoji)、「いつものライブより、もう少しお客さんとシッキンで一緒に踊る時間を増やしたい」(kazuki)、「音楽ライブと同じような感覚で来てほしい。いい音楽聴いて、楽しくなったら一緒に体も動かして」(Oguri)、「これダンスなんだ?って、ライブを観てくれればダンスの概念が変わると思います。一緒に踊ってほしいし、僕たちの新しいパフォーマンスの可能性も感じてほしい」(NOPPO)。
4人がそれぞれの個性を発揮するソロダンスあり、全員のダンスあり、観客と一緒に踊るダンスもあり。そこで使われる音楽のジャンルは多種多様だ。「いいダンスを見せるという軸からズレなければ、音楽はやりたい放題」なのがダンスライブの世界。『踊ピポ』ツアーのリード曲ともなる『衝動DO feat. 在日ファンク』は、勝手に体が踊り出すようなノリのいいファンク。また、この曲とはまったく違うテイストで先日新たに配信リリースされたのが、盟友・三浦大知とのコラボ楽曲『No End feat.三浦大知』(作詞・歌唱:三浦大知 作曲:UTA)。これは日本武道館ライブのテーマ曲でもある。「10年以上前からお互いに刺激し合ってきた関係そのものを感じるような音楽にしたい」と作り上げた。三浦は「大きな目標を達成してもなお、シッキンが“まだまだいくぞ”と決意表明できるような歌詞にしたい」との思いを込めて歌詞を書いた。「いい意味でエネルギーのぶつかり合いみたいな熱い楽曲です。それに合わせてシットキングス的にも細かいところまでこだわって『これを見ろ!』という感じのダンス作品。『踊ピポ』ツアーに来てくださる方は楽しみにしていてください!」(shoji)。「かなりバッチバチなパフォーマンスですよ」(kazuki)。
頑張るシッキンは、今回さらに頑張る。大阪3公演の後、翌日にワークショップを3レッスンやるのだ。最近は毎年開催しているワークショップ。入門クラスは「爆笑しながらレッスンやってる感じで、ダンスの楽しさをシンプルに体験してもらおうと」ダンスはまったく初めてな人のために。経験者クラスは「僕たちが普段踊るような振付を教える時間。少しでもダンスをやったことがある人は是非このクラスで」。シッキン4人がみんなで一緒に作った振りを、直接教えてもらえるというぜいたくなダンスレッスンだ。
「シットキングスのチームとしての気持ちは15年前と全然変わってなくて。楽しいこと何が出来るかな、何やろう?って、ワクワクするものに導かれて、楽しんで突き進んでいるというスタンスです。変わったのは応援してくれる人が増えたこと。おかげで武道館も全国7都市のツアーも成り立ったと思う。ダンスに興味を持ってくれる人がすごく増えてると思うと続けて来てよかったし、でも、ダンスってまだまだ知らない人が多いということも実感します。だから僕らはこれからもひたすら続けて、ダンスと、そのいろいろな楽しみ方に気付いてくれる人がもっとどんどん増えたらいいなと思っています」(NOPPO)。「ほんとに一瞬で迎えた15年だったんですよ、ものすごく濃かったですけど。なので、ここから先、また次の15年が一瞬で過ぎ去るぐらい濃い日々をみんなと過ごしたいなと思います。自分の置かれている環境とか、いろいろな変化はしていくと思いますけど、それでも常に楽しいことをしていく、ワクワクする4人でいたいなと思っています」(shoji)。
「15年を切り取ってみたら、どのタイミングにあっても考えることは一緒でした。結成した時から、誰も観たことのないようなショーを作りたい、というところから始まって、ダンサーやアーティストがやったことのないようなことをやってみたいと、その規模がどんどんデカくなってるだけなんですよね。だからもう、方向性としては広がっていくのみです。ただ、15年積み上げて来た経験値や絆というものが、ちゃんと積み上がった状態で、さらにこれからも大きなチャレンジをどんどんしていきたいなと思っています」(Oguri)。
「15年間、いろんなことをやってきましたけど、シットキングスとしては、これをやるんだ!という何か大きな目標のために集まったわけではなくて。だけど、目の前に現れる大きな試練に立ち向かって行ったら、目標なんて掲げている暇なんかないぐらい、いろんなことをやらせてもらってきました。“ミュージックステーション”に出た時とか、日本武道館が決まったという時とか、ファンの人はもちろん、ダンサーの仲間もすごく大喜びしてくれるんですよね。それが自分たちにとって一番やりがいを感じる瞬間でした。これからもそういったものをどんどん達成していきたいなという夢は持っています」(kazuki)。
テレビドラマや舞台など芝居の世界で活躍するshojiとOguri。自身のYouTubeチャンネル「カズキのタネ」で様々な企画を展開しているkazuki。イラストレーターとして絵本の制作やコラボ商品の開発まで手掛けているNOPPO。個人個人の活動も振付の仕事もそれぞれだ。「そこで自分たちが感じたことや経験したことや持ち寄って、さらにパワーアップしていく。なので、個人の活動はこれからも大事にしていきた」とshoji。15年を経てもずっと仲良しの4人組。前に向かって挑み続ける彼らの“今とこれから”が凝縮された今回のダンスライブ。楽しみながら応援しに行こう!
取材・文/高橋晴代