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『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2022』 イベントレポート

2022/8/2

公演レポ

OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2022

『ジャイガ2022』、溢れる音楽愛とエンタメでもてなした最高の2日間!    

『ジャイガ』こと『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2022』が7月23日・24日、大阪・舞洲スポーツアイランド特設会場で開催された。

今年は4月2日に『THE BONDS 2022 -Make a Mad-』、翌3日に『THE BONDS 2022 -In the Dive-』を大阪・Zepp Osaka Baysideで、5月3日には『THE BONDS 2022 -GIGANTIC TOWN MEETING-』を大阪・梅田4会場でサーキットイベントとして開催し、度重なるスピンオフイベントでも当日への期待感を高めてきた同イベント。

さらには、フードやグッズ情報などをリアルタイムで確認できる公式アプリのローンチや、普段はツアーやフェスの撮影を担当するプロのカメラマンが、フォトジェニックな写真を撮り下ろしてくれる映えスポット「スタジオジャイガ」、ドローイングアーティストのDAICHI YANAI.により、スケルトン構造のアトリエにストリートグラフィックが施された展示等も実施。最大キャパのSKY STAGEとそれに向かい合うCOAST STAGE、海沿いの抜群のロケーションのSUN STAGEの全3ステージのみならず空間全体がプロデュースされ、絶好のフェス日和と言える晴天の下、2日間にわたり多くのミュージックラバーが訪れた。

▼7月23日(土) 

初日の7月23日は、『THE BONDS 2022 -In the Dive-』にも出演した我儘ラキアがオープニングアクトに抜擢され、エモーショナルなライブでSKY STAGEを圧倒。


一方で、SUN STAGEのトップバッターを務めた秋山黄色は、「毎年毎年開催されるのは当たり前じゃない、本当にありがとうございます!」と今の時代に音楽を鳴らすことへの感謝と気合いのパフォーマンスで、『ジャイガ』の開幕に花を添える。

今や『ジャイガ』に欠かせないアクトと言える常連のビッケブランカは、ショートパンツにサングラスの夏仕様でSUN STAGEに登場し、「Moon Ride」「アシカダンス」とアッパーなナンバーを連発。「こんなピーカン久しぶりに見た!」とサングラスを外したビッケがその日差しに面食らうほどの真夏日に、「アイライキュー」では真っ白な衣装を身にまとったダンサー8名と、切なくも爽快感のあるメロディを届けていく。

「『ジャイガ』には数え切れないほど出させてもらって、去年はトリでみんなと一緒に花火を見たのもすごく印象的でしたけど、いろんな「初めて」を僕に経験させてくれたのが関西地方なんです。今からやる曲も、ライブで披露するのは初めてになります。ここからは水を飲む暇もないぜ? だから今LINEをチェックしても全然いいので(笑)。ドーンドーンとやってそのままいなくなっちゃうから!」と、後半戦はみずみずしくもポップな新曲「This Kiss」を初お披露目。これには会場いっぱいに手が上がり、「みんなのおかげでライブでこうなるんだと分かった、これからも愛してほしい曲です」とビッケ。ラストは「Ca Va?」で盛大にブチ上げ、再びダンサーと華やかに魅せた「ウララ」へ。たくさんの「初めて」をもらった大阪で、この1年の進化と未来をのぞかせた。


他にも、出演キャンセルとなったReolの代打で、急きょ出演が決まったOKOJOのまつした(Vo&Ba)は、前日のTwitterで「やるからにはしっかり爪痕残します。そして誰よりも楽しみます」と宣言。思いがけず目にすることになったCOAST STAGEから広がる絶景を前にグッドメロディを鳴らし、「出られるわけがないと思っていたフェスに1ページを刻めた。また来年再来年と2ページ、3ページ目を刻んでいきたい」と思いを新たにしていた。



同様に、ヤバイTシャツ屋さんの穴を埋めたのは、FM802DJ浅井博章による、「ヤバT縛り」のスペシャルDJセットだ。「本物のライブはこれの100倍いいから。また一緒に踊りましょう!」と締めくくった愛のある30分間は、コロナ禍でも音が鳴る場を守り続けた『ジャイガ』及び『THE BONDS』の不屈の精神を代弁しているかのようだった。



すっかり日の落ちたSUN STAGEで、ブラウン管テレビを連打し音を出すTV-Drumsと、オープンリールでスクラッチするOpen Reel Ensembleの異次元セッションを経て、ボーカルのACAねがギターをかき鳴らし「JK BOMBER」を歌唱するという、何ともミステリアスなオープニングで度肝を抜いたのは、ずっと真夜中でいいのに。だ。個性的なバンドメンバーは終始、壮絶かつスリリングなサウンドを奏で、「お勉強しといてよ」での高揚感と疾走感もハンパない。が、ここで「あの……機材トラブルです(笑)。すごい、ペンライトが蛍みたい。空の方を見てください、すごくいい眺めです」とACAね。

「壊れて使えなくなった家電を楽器にしてるのでトラブルはつき物なんですけど、こんなに電源が落ちちゃったのは初めてで動揺してます。応援してください」と言うACAねに、大きな拍手が応える。「秒針を噛む」では息を吹き返したように躍動し、「マイノリティ脈絡」「ミラーチューン」「正義」と畳み掛ける! 「そろそろ踊りたくなってきました? 日頃の不服や悩みはあるかもしれませんが、今日はもう「どうでもいい」と思える振り幅があると、楽でいられるかな。じゃあご一緒に」と、「あいつら全員同窓会」で幸福なカオスを生み出し、ずとまよの初『ジャイガ』が幕を閉じた。

そして、Survive Said The Prophet、HEY-SMITH、ROTTENGRAFFTY、Fear,and Loathing in Las Vegas、Crossfaith、マキシマム ザ ホルモンと、ロック界の猛者がそろい踏みのSKY STAGEで、初日のトリを飾ったのはcoldrain。コロナ陽性のため出演できなくなったSugi(Gt&Cho)の代役にYD(Crystal Lake)を迎えた特別編成で、「The Revelation」「ENVY」「MAYDAY」と立て続け、「うるせえ音楽をやりながら、大阪のこんな大きなフェスのトリを任されるバンドになりました。せっかくだから最新のcoldrainぶつけちゃっていいですか?」(Vo・Masato、以下同)と、冒頭からド派手な照明と炎の特効もろとも攻め立てる。「Before I Go」で漆黒のSKY STAGEをぶち抜く閃光のような歌声が最後方にまで到達したかと思えば、「Cut Me」では炎が天から降り注ぐ光と音と炎の波状攻撃。「PARADISE (Kill The Silence)」では、360度見渡す限りジャンプする、これぞロックフェスな光景がそこに! ここで、SEと共に窓に映る雨の映像がビジョンに映し出され、「UNINVITED」から後半戦へ。荘厳で強烈なサウンドスケープが無限に広がっていくような神々しいシーンだ。

「この並びで、トリをやらせてもらえて光栄です。クソみたいな時代の中で、音楽を止めていないのはここに立っているバンドたちの力だけじゃなく、紛れもなくあなたたちのおかげです。マイクを持って、デカいステージに立って声を出してるのに、まだ何も変えられてない現状は悔しいですけど、来年の『ジャイガ』ではマスクなんて捨てて暴れ倒せることを夢見て。誰一人逃がさねーぞ、We Are coldrain!」

「No Escape」、「24-7」、「Final destination」……最後まで徹底的で圧倒的であり続けたcoldrain。「日本中にラウドロックが根づくまで絶対にやめない」と誓ったこの日の最高到達点を祝福するように花火が打ち上がり、そこにいる全ての人が空を見上げる最高のエンディングとなった。

▼7月24日(日)

2日目もネクストブレイクの予感を漂わせるアーティストが多く出演したCOAST STAGEでは、osageがトップバッターとしてあいさつ代わりのグッドミュージックを、温かくもクセのある歌声を響かせる。「僕らは初出場なんですけど、初めての夏フェスが『ジャイガ』でよかった。この歌があなたの心の中でいつまでも鳴り続けますように。遠くに行った友達の歌です」と山口ケンタ(Gt&Vo)が告げ、「ウーロンハイと春に」では各所で拳が上がる風景を作り出すなど、シーンのド真ん中を射抜けるポテンシャルを存分に感じさせた。


そうやってかつて『ジャイガ』で大型フェス初出演を果たし、毎年ステップアップを遂げてきた緑黄色社会は、堂々の大キャパとなるSKY STAGEへ。1曲目の「ブレス」から、はるか後方まで人で埋まった舞洲の地に、自分たちの歌を轟かせる。そんな勇ましい姿にくぎ付けになるオーディエンスを前に、「Mela!」「merry-go-round」と、バンド名さながらのグリーンの衣装も華やかなメンバーが、一丸となって盛り上げていく。

「『ジャイガ』は初めて出させてもらったフェスなんです。この数年で何か変わったのかなと思うけど、相変わらず今日もたくさん緊張して、このでっかい景色にドキドキしちゃって。この景色は宝物だと思ってます、いい夏にしよう!」(Vo&Gt・長屋晴子、以下同)

「夏を生きる」では、灼熱の『ジャイガ』につかの間の安息を与えるような清涼感とメランコリーをもたらし、「スペシャルな仲間を呼びます。ジャイガダンサーズの皆さんようこそ!」という呼び掛けに応え、総勢27名のダンサーがSKY STAGEに! 横一線で「キャラクター」に合わせダンサブルに楽曲を彩るさまは壮観で、クライマックスは「S.T.U.D」「sabotage」と一気に駆け抜け、「最高の時間をどうもありがとう!」と躍動感いっぱいにライブを終えた。


「心の声で叫んでくれー! Say Yeah!!」とトータス松本(Vo&Gt,Harp)が雄たけびを上げたいきなりの「ガッツだぜ!!」に、SUN STAGEへと吸い込まれるようにみるみる人だかりが大きくなっていく! さすがの求心力を見せつけたウルフルズは、風そよぐ舞洲に時を超えて染みわたる名曲「笑えれば」でも気持ち良さそうに歌い上げ、現在進行形のウルフルズをタイトな演奏で存分に伝えた「タタカエブリバディ」、イントロから心の歓声が聞こえるかのような「バンザイ~好きでよかった~」と続ける。

「日常がちょっとずつ戻ってきてるから、こうやって集まれてる。この先、もっともっと世の中が、音楽シーンが楽しくなるように、この曲をバーンとブチかましたいと思います!」(トータス松本、以下同)と始まった「ええねん」は、初見でも一撃必殺でノレるパンチ力で、「今日はせっかくの大阪やし、『ジャイガ』やし、いろんなグループが来てるし、コラボしてみたいと思います! Creepy NutsからR-指定!!」との思わぬコールに、大いに沸くSUN STAGE。「大阪ストラット」では、大サビの関西弁ラップを見事にキメたR-指定が、おかわりのフリースタイルでもダメ押し! 「俺、そんなん絶対できひんわ。先に帰ったDJ松永にもよろしく言うといて(笑)」とトータス松本も思わず感心した、異色で絶妙なコラボレーションで、世代もジャンルも越えてみせたウルフルズだった。

リハの段階でメンバーもその圧巻の景色に感動しきりの超満員のSKY STAGE。2日目のトリとなるsumikaのライブは、2014年の大阪での初ワンマンから今日に至るまでの道のりがスクリーンに流れるドラマチックな幕開けで、映像が終わると同時にたいまつに火がくべられ、観客の興奮度は爆発寸前! 片岡健太(Vo&Gt)のアカペラに溶け合うようなコーラスが導いた「Summer Vacation」は、光を抑えて揺れる炎だけで魅せる絵面もロマンチックで、一転、ゴージャスなバンドサウンドでたちまちハッピーにさせた「Shake & Shake」に、ライブ鉄板のアンセム「ふっかつのじゅもん」とド頭から一切手加減なし。グルーヴィンな「KOKYU」に続いて、「今年はありがたいことに夏フェスがたくさん復活しました。が、単なる夏フェスの一本ではなく『ジャイガ』で命を燃やし尽くすために、ラストまで鳴らし続けます!」(片岡、以下同)と、中盤は「イコール」「いいのに」「Babel」と珠玉のミドルナンバーで魅了。「まだ色の付いていない新曲、この夏、一緒に育てていきたい曲を歌わせてください」と披露した「透明」は、大きな愛をストレートに放った渾身の一曲。今後も各地のフェスで、その育っていく過程をきっと目にすることになるだろう。

「今日はホームの『ジャイガ』だからこそできた、なかなか攻めたセットリスト」と自負するレアな一日もいよいよ終盤。「今年、あなたが『ジャイガ』を見届けてくれたから、来年につながります。音楽が続きます。愛情を込めてもうちょっと歌っていいですか!?」と、その言葉を裏切らない「ファンファーレ」~新曲「Glitter」でフィナーレへ。アンコールも「Lamp」でにぎやかに終え、「『ジャイガ』に来ることを選択してくれて本当にありがとう! また必ず来年も会いましょう!!」と約束したsumikaを、夜空に浮かんだ大輪の花火が見送った。

終演後はLINE LIVEでこの2日間を振り返るアフタートークイベントも行われるなど、現地へと向かうシャトルバスの車中~規制退場の待ち時間までをエンタテインメントに変えて、最後の最後までとことんもてなし、楽しませた2022年の『ジャイガ』だった。

取材・文:奥“ボウイ”昌史
撮影:渡邉一生(SUN STAGE)/日吉“JP”純平(SKY STAGE)/ハヤシマコ(COAST STAGE)/キシノユイ(会場写真)/ヤマウチマイ(会場写真)/桃子(会場写真)/Hoshina Ogawa(スタジオジャイガ撮影)/ヨシモリユウナ(スタジオジャイガ撮影)

OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2022

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