2022/7/27
取材レポ
「主演を務められるのか自分の中で葛藤がありました」と正直な気持ちを語る桜井。「経験不足で技量的にも足りない部分がたくさんあり、ミュージカルに出演すること自体が自分の中で毎回挑戦です。今回はさらに座長としてのプレッシャーも感じています。ですが、このような素敵な作品に出演させていただけるのなら是非、と。今回はとても大きな挑戦です」。
アイドルグループの時代から「演じることが好き」だった桜井。「好奇心が旺盛」で「できることはどんなことでもやりたい!」と目を輝かせていた彼女は、グループ在籍時代にミュージカルの魅力を知った。全員で歌って踊るライブから「1人で舞台に立ち、役を背負って歌い、発信するミュージカルは視聴率100%!のような瞬間がたくさんあり新鮮でした。役を背負う責任感は圧倒的に大きく、声も手も震えるぐらい緊張します。でもそれがものすごく刺激的で快感。中毒性があるな、と(笑)。」。
アイドルグループで長く歌ってきたが「ポップスを歌うのとミュージカル表現ではアプローチが違う」ので、その経験が生かされているかは「微妙なところ」だそう。だが、大人数を率いて来たキャプテンとしての経験は“座長”にしっかり生きている。「いろいろな人がいる、ということは学びました。個性豊かな人がたくさんいるから、頑張ってまとめようとしてもまとまらないのは当たり前。まとめるのではなく、居心地のいい空間を作ることがグループをまとめる上で大事なことなのかな、と当時から思っていました。この先も、それだけは忘れないようにしようと思っています」。それは「活気がある」と言う稽古場でも実践されている。「大ベテランの方もたくさんいらっしゃるので、カンパニーを引っ張るというより、全員が笑顔でいられたらいいな、というスタンスで。自分が誰よりも楽しんで稽古に臨むということを、一番大切にしながら日々稽古をしています」。
主人公のドロシーは「現代の世界に住む大学生の女の子」という設定。幕開きは、オーケストラ部の部室シーンから。「大人のドロシーの冒険物語なのでファンタジー過ぎず、体験から感じることや気付くことが大人目線になっています。現代を生きる皆さんへのメッセージが、登場人物それぞれの課題としてストーリーに展開され、いろいろな物事の捉え方や感じ方が伝わるような作りになっています」。だから大切にしたい。「内容はかなり盛りだくさんですが、セリフの節々に大事なポイントが散りばめられているので、ひとつひとつお客様の心に残るように、物語がつながっていくように、と意識して丁寧に積み上げていかなければと思っています」。
「宮川さんの楽曲! とても素晴らしい曲ばかりです」。全曲、宮川彬良が書き下ろした新作オリジナル曲で、楽曲数は「かなり多い」そう。「めちゃくちゃ大変ですが、とても楽しいです(笑)」。そしてもうひとつ。「怪物や魔法で起こる“現象”を、生身の人で表現していくという挑戦的な演出になっているので注目していただけたらと思います」。近年、映像を使用する舞台演出が多い中、敢えて人力で勝負する舞台は高ポイントだ。
今回の公演は東京からスタートし10都市を巡演。グループのキャンペーンで各地を回ってきた桜井にとって、ツアーはお得意かと。「移動はかなり慣れていると思いますが、このように何かを背負ってのツアーは初めてです。仕事として初めて伺う県や劇場もたくさんありドキドキしています」。ちなみにツアー5都市目となる今回の劇場、兵庫県立芸術文化センターの舞台にも初登場となる。
「このような状況の中、兵庫県で公演させていただけることは本当にありがたいことです。ちゃんと兵庫につなげられるように、感染対策も徹底して無事に初日を迎えたいです。私を初めて観てくださる方もたくさんいらっしゃると思いますので、少しでも多くの方に観ていただけるよう、そして何かを感じていただけるように、精一杯頑張ります。劇場でお待ちしております」。
取材・文=高橋晴代
ミュージカル『DOROTHY~オズの魔法使い~』
作・演出:田尾下哲 作曲・音楽監督:宮川彬良 作詞:安田佑子
桜井玲香
蒼井翔太・鈴木勝吾(Wキャスト)
渡辺大輔
小野塚勇人【劇団EXILE】・栗山航(Wキャスト)
伊波杏樹
横溝菜帆
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凰稀かなめ
鈴木壮麻
荒木啓佑 / 井坂泉月 / 大山五十和 / 古清水愛奈
後藤紗亜弥 / 咲花莉帆 / 森山晶之 / 渡部光夏
|日時|2022/09/16(金)~2022/09/19(月・祝)
|会場|兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
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