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『セールスマンの死』開幕直前!
高橋克実と林遣都の来阪会見開催

2022/5/8

取材レポ

パルコ・プロデュース 2022 『セールスマンの死』

トニー賞、ニューヨーク批評家賞、ピューリッツア賞を受賞したアーサー・ミラーの代表作『セールスマンの死』。70年前に書かれた戯曲は映画化もされ、日本でも何度も上演を重ねている近代演劇の名作だ。舞台は1950年代のアメリカ。かつて敏腕セールスマンだった63歳のウィリー・ローマンとその家族の物語の中に、過酷な競争社会、若者の挫折、家庭の崩壊が描かれる。滝沢修や仲代達也ら数々の名優が演じて来たウィリー役を、65歳の節目に挑む段田安則。また、本格的舞台出演が25年ぶり2回目となる鈴木保奈美が妻役を演じるほか、出演者には実力派が集う。演出は、ミラー作品で評判を得た気鋭のイギリス人演出家ショーン・ホームズ。兵庫公演より一足早い京都公演の開幕直前、ウィリーの兄ベンを演じる高橋克実と次男ハッピー役の林遣都が来阪、作品の魅力を語った。
 

「演出家のショーンさんは明るいエネルギーが充満している方で、いい空気感のある稽古場でした」と、海外演出家との初タッグを経験した高橋。ウィリーの幻想の中に出て来る成功者の兄ベンを「能天気なところは自分に似てるかな」と笑いながらも、演出家の言った「ベンはウィリーなんです」という一言を軸に、段田との絡みを「鏡のつもりで」演じている。また「この作品を自分の家族と重ね合わせて見ていました」という林は、ローマン家と同じ家族構成でもあり「スターのような兄、仕事人間の父、愛情深い教育など、共感するところに重きを置いて役作りを考えていたのですが、ショーンさんはそういうことよりも『ハッピーは女の子最優先で』と。演じる軸を示してくださったことで、方向性が定まった感覚がありました」と話す。そう生きるしかなかったハッピーの悲しみ。「ハッピーがどんな人間か、どうお客様にわかってもらえるかが難しい」。

本作の主人公ウィリーを演じる段田は、高橋と同じ事務所の先輩で共演は数多い。「20歳の時に劇団民藝の滝沢修さんが演じられた『セールスマンの死』を観て、『将来で一番やりたい作品』という話を昔から聞いていました。この舞台に賭ける強い熱をものすごく感じています。これまで数多くご一緒してきましたけれど、今回の向き合い方はすごい。普段はひょうひょうとしている人なのに、段田さんのすごい熱量にみんなが自然に引っ張られているように感じます」。

時代に取り残され、かつての精彩を欠いたウィリー。妻リンダは献身的に彼を支えるが、自立できない息子たちに期待は裏切られ、家などのローンに追われる現実。そんな彼がすがるのは希望にあふれた過去の幻影…。現在と過去、現実と幻想が交錯する物語に、今回ショーンは新たな演出で挑む。その見どころを2人が語った。

「今回は道具が比較的少なくて、人と人との動きと言葉のやりとりで進んでいきます。そこに、ステージングのすごい方、(演出・振付・俳優の)小野寺修二さんが加わって、場面転換もすごく独創的なものになっています。お客様が、これはいったいどういう表現なんだろう、何を物語っているんだろうという想像をより楽しめるものになっているんじゃないかと感じています」(林)。「舞台美術は28歳の女性でグレイス・スマートさん。この人とショーンさんのコンビが素晴らしいですね。僕らも劇場での稽古が始まってから、全員が『はぁ~! こんなことになるんだ』って驚きました」(高橋)。

「段田さんのウィリーを観ていて、家族のことや自分の培って来たものを守るためにという思いから、現状を変えようと死に物狂いで一生懸命生きている姿に心打たれた瞬間がありました。そんな魅力がこの作品にはあると思います。今、この大変な世の中にあって、人が一生懸命生きようとする姿を見ていただきたいですね」(林)。

「この作品は、家族のことを描いている話です。ローマン家は男の子2人。僕にも息子がいます。子供が小さくても大きくても、観たら刺さるところがものすごくある作品ですね。血を分けたこの世で一番近い関係なのに、どうしてこんなふうになってしまうんだろうというのは、皆さんも経験があるでしょうし。人間だからそうなるんだと、また改めて考えさせられる。私は今回、立ち位置が客観的な役なので、ついつい家族のやりとりをお客さんと同じように観たり聞いたりしてるところがあり、のめり込んで自分の出番を忘れるぐらいで(笑)。親子や家族のシーンには本当に震える部分が多くあります。段田さんが熱望していた作品、これは是非観た方がいいですよ」(高橋)。日本で60年代から上演されてきた名作。これがなぜ時代を越えて名作と呼ばれているのか。昔、観たことのある人にも観てほしい。数十年の人生を経て来た今、きっとこの舞台は前回と違って観えるはずだ。

パルコ・プロデュース 2022『セールスマンの死』

■作
アーサー・ミラー
■翻訳
広田敦郎
■演出
ショーン・ホームズ

■出演
段田安則 鈴木保奈美 福士誠治 林遣都 / 前原滉 山岸門人
町田マリー 皆本麻帆 安宅陽子 / 鶴見辰吾 高橋克実

京都公演

日時:2022/05/07(土)~2022/05/08(日)≪全3回≫
会場:ロームシアター京都 メインホール

公演詳細はコチラ

兵庫公演

日時:2022/05/19(木)~2022/05/22(日)≪全5回≫
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

公演詳細はコチラ

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