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【インタビュー】「SINGIN' IN THE RAIN ~雨に唄えば〜」アダム・クーパー

2022/2/18

インタビュー

SINGIN' IN THE RAIN ~雨に唄えば〜

太陽の光や雨のように幸せな気分を思い出させてくれる
アダム・クーパーが大阪公演の直前に語る「雨に唄えば」

ダンス界のスーパースター、アダム・クーパーが主演するミュージカル「SINGIN' IN THE RAIN~雨に唄えば~」の大阪公演が幕を開ける!
本作は、ジーン・ケリーが主演した同名映画がベースで、1920年代のハリウッドを舞台に、クーパー演じる映画スターのドンと駆け出しの女優キャシーとの恋を描くドタバタコメディ。2012年にクーパー主演でロンドンで初演され、過去2回の東京公演では10万人以上を動員。ステージに14トンもの大雨が降りしきり、クーパーが傘を差して、水しぶきとともにタップダンスをし、歌い舞う場面は、舞台の歴史に残る名シーンといっても過言ではない。ドンを演じるのは今回が最後で、13年ぶりに来阪するクーパーが緊急取材に答えてくれた。

――コロナ禍の中、5年ぶりの東京公演が実現しました。

「とてもうれしくて胸がいっぱいです。日本が大好きなので、コロナ禍で来日ができないかもしれないとなった時は、本当に落ち込んだけど、実現できてカンパニー全員が最高の気分です」


――大阪は今年が初開催です。

「別の作品を大阪で何回も公演してきたので、大阪のことはよく知っています。きっと大阪の人は「雨に唄えば」を気に入ってくれると思いますよ。この作品の素晴らしいところは、人々に喜びをもたらし、幸せな気分とはどういうものだったかを思い出させてくれること。太陽の光や雨のようにね。本当に贈り物のような作品です。まだ観たことがない人も気に入ってくれると思いますし、皆さんの人生を豊かにしてくれるミュージカルです」

――「雨に唄えば」といえばジーン・ケリーが主演している映画が有名ですが、彼からどのような影響を受けていますか。

「ジーン・ケリーとフレッド・アステアは僕のヒーローなんです。映画を見た時はまだ子どもだったんですが、すぐ作品と恋に落ちました。歌をはじめ、モダンバレエの要素も入ったダンス、ユーモアのある物語とどれも大好きでした。将来はタップダンサーになりたくて、6歳の時に一番はじめに習ったのはタップダンスでした。その後、バレエをやりましたが、またタップダンスに戻った経験があります」


――映画と同じように舞台でもタイトル曲「雨に唄えば」のシーンは最大の見どころです。

「舞台で本当の水を使った雨にうたれて歌うわけだから、すごく難しいシチュエーションなんです。最近はないですが、初めてこの舞台をやった時は転んだことがあります(笑)。特殊な床が作ってあり、そのための靴も履いていて、メンテナンスをしながら、転ばないように取り組んでいます。あの素晴らしいシーンのイメージを壊さないようにね(笑)。今はとても楽しんで演じています。また、舞台のいいところは成長できることですね。僕が演じるドンも初演時と今とでは違ってきているんです」

――ほかにはどんな成長がありましたか。

「ドンとキャシーの関係性が変わってきましたね。この作品は、1950年代に書かれた物語で今とは状況が違うわけですが、現代では男性と女性の関係はもっと平等に描かれるべきで、女性が被害者みたいにならないように表現の仕方が少しずつ変化したと感じます。今回、振付も変わっていて、ドンの親友のコズモと歌う「Fit As a Fiddle/調子は上々」では、振付家の希望で小さいところを除くと全く新しい振付になっています。
一番初めに英国でゲネプロをやった時は、最悪でした(笑)。雨はちゃんと降らないし、傘は壊れるし、この作品を上演できることは決してないと思ったんです(笑)。ところが開幕すると、特に「雨に唄えば」のシーンで観客は狂喜してくれて、それが今も続いています。あんな観客の姿を見るのは本当にうれしくて。今まで見たことはなかったですね。大雨が降る中、僕たちも、前方の観客も僕のステップで雨をあびて濡れるわけだから、お互いつながっているような不思議な意識や交流が芽生えて、ああいう反応になるんでしょう。本当に素晴らしい体験です」

――東京公演を拝見し、とても幸せな気分になれました。「雨に唄えば」のシーンではクーパーさんご自身は何を感じながら歌ったり、踊ったりしているのでしょうか。

「実を言うと、とても疲れるんです(笑)。マラソンを走っているようで、昼と夜の公演がある時は、マラソンを二回走っている感覚です。身体的にも精神的にもテストされているような作品ですが、同時に達成感がものすごくあります。
今、僕は50歳ですが、こんなことができている。同年代のパフォーマーは肉体的にこういうことはできないという現実があるのに、僕はできている。非常に疲れますが、価値があるものですし、作品がもたらす喜びやクオリティーが助けとなって疲れが吹っ飛び、さらなる力をくれる。ほかのキャストも皆、同じだと思います」

――振付は映画版へのオマージュと、オリジナルのダンスがうまくミックスされていて、とてもいいバランスですね。

「アンドリュー・ライトが振付を手がけていて、彼は僕が踊りにくくないかをいつも気にかけてくれる、とてもオープンな人です。「雨に唄えば」のシーンをはじめ、2幕の「ブロードウェイ・メドレー」、ほかのダンスナンバーなどでも僕の意見や「ここのステップはああしたい」という提案、何となく踊ったものを取り入れてくれて、僕のアイデアが盛り込まれています。素晴らしいコラボレーションになりました」


――クーパーさんにとって、この作品はどういう位置にありますか。

「特別な作品です。「雨に唄えば」は、ほかのどの作品よりも一番多くこなした舞台で、これまでにドンを700回以上も演じてきました。そして、子どものころからのヒーローであるジーン・ケリーの役を僕がやるという夢を叶えてくれた。ドンの役を引き継ぎ、僕自身のバージョンで演じられてきたことは本当に光栄です」

TEXT:米満ゆうこ

SINGIN' IN THE RAIN ~雨に唄えば〜
 
日時:2022/02/18(金)~2022/02/21(月)≪全5回≫
会場:オリックス劇場

公演詳細
https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/3660

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