2020/11/7
取材レポ
――島唄を歌い始めたのはいつからですか?
「3歳頃から祖父に教わって歌うようになりました。同世代の子には歌っている子が全くいなかったので、敬老の日などのお祭りには必ず呼んで頂いて歌っていましたね。おじいちゃんやおばあちゃんがとても喜んでくれました」
――島唄は主に何をテーマに歌われているのでしょうか?
「生活について、教訓、そして恋愛の唄が多いですね。奄美の島唄は他の民謡と比べると恋愛について歌われているものがすごく多いです。歌詞には昔の言葉が使われているので、実は私も聴いていてわからないこともあって…。島唄の名手のことを唄者(うたしゃ)というのですが、良い唄・いい歌詞ができた時に自分の歌詞を他の人に盗まれないようにあえてわからないように歌っていたらしいんです!そりゃわからないですよね(笑)なので歌詞の内容を祖父母に聞きながら、その唄が歌われた情景を思い浮かべて歌っていました」
――19歳で上京された際は島唄ではなくポップスを歌われていたんですよね。
「元々島唄というのは生活に根付いた、なくてはならないものだったので、島唄でプロシンガーになるというのは考えもしませんでした。歌手になるならポップスだな、と!ただ、私は島唄とポップスでは歌声が全然違うらしく、島唄の時の歌声の方が良いと沢山の方に言われることが多くて…。どうしたらその境目を無くせるんだろうと悩む中で、一度原点に立ち戻ろうと、また島唄を歌いはじめました。色々な方とコラボレーションさせて頂くうちに国境やジャンルを越える島唄の可能性を知り、もっと極めたいと思うようになりましたね」
――11/8(日)には大阪市中央公会堂でピアニスト・中林万里子さんとのコンサートが開催されます。
「コロナ禍で自分が今できることを考えた時、せっかく奄美にいるんだから奄美で生まれた島唄をそのままお届けしたい!と、自粛期間中にオンデマンドコンサートを開催しました。その際にドローンで撮影した奄美大島の自然と共に、1年振りに関西でのコンサートを開催します。大阪の方には奄美に行ってみたいと思って頂きたいですし、奄美出身の方には改めて奄美の素晴らしさ発見したり、懐かしさを感じるようなコンサートにしたいですね。なぜか大阪には奄美出身の方が実はたくさんいるんです!
映像と一緒に唄を聴くことで、その唄がどうして生まれたのかを感じて頂けると嬉しいな。中林万里子さんのピアノによってより美しく、ゆったりと大きな世界観で表現される島唄を是非聴きにきてください!」
――来年はドラマーの佐々木俊之さんとのコンサ―トも予定されているようですね。
「奄美の島唄は唄と太鼓(チジン)だけで成立するものだったので、島唄のプリミティブもしっかり残しつつ、西洋のリズムにすることで、色々な方にとって聴きやすいアレンジになっていると思います。佐々木さんもそうですけど、まったく違うジャンルや伝統の方とコラボレーションさせて頂く度に『島唄ってどんなものにも馴染むんだ』と驚きますね。奄美の島唄の歴史の中で、現代にも残っているような良いメロディや歌詞が生まれた全盛期というのは奄美が薩摩藩に支配されていた時代なんです。そういった辛い想いややるせなさという人間らしい感情というのはどんな音楽にも通ずるものだからこそ島唄は馴染むのかもしれません。島唄の今後の可能性を感じる瞬間ですね」
――最後に、里さんの今後の展望をお願いします!
「こうして今回、関西で一年振りにコンサートを開催できるのはとてもありがたいことで、未来はどうなるかわかりませんが、歌っていたいですね。自分が一番好きなのはやっぱり唄。こういう風になりたい、こういう場所で歌いたいという夢は沢山ありますが、とにかく『歌っていたい』です!」
TEXT:鷲野恭子(ヴエロ)
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★ INFORMATION
里アンナ 奄美・島唄コンサート2020
■出演
里アンナ/島唄・三線
中林万里子/ピアノ
【開催間近!】
2020/11/08(日)14:00
会場:大阪市中央公会堂 中集会室
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