2020/9/1
インタビュー
――2006年にピアニストとしてCDデビュー、翌年には歌手としてもデビューされ、幅広い作曲活動もされていますが、作曲はいつ頃から始められたのですか?
4歳か5歳の頃には、日記を書く代わりに『今日はこんなことがありました』というのを音にして並べるようなことをしていました。作曲と言えるか分からないのですが(笑)、悲しかったこと、嬉しかったことなど感情を曲にしていましたね。今も自分の感じたことを音にしていくというベースは、変わっていないかもしれないです。
――映画『チェスト!』で初めて劇音楽の作曲をされたのは、ひとつの転機になりましたか?
そうですね。1曲2曲ではなくそのシーンに合わせた多くの曲が必要でしたので、キャラクターやお芝居をより素敵に見せるにはどうしたらいいのだろうと考えながら作曲しました。
――音楽家として視野も広がってきていると感じますか?
コンサートをさせていただくようになってから、ソロとしてのピアノというより、他のミュージシャンの中にいるピアノ、という感覚が強くなってきました。ここ数カ月は時間があったので、あらためて色んな曲の練習をしたのですが、クラシックのソロ曲もオーケストラで弾いているような気持ちで捉えていました。『ここでクラリネットの音が鳴っているな』とか…。
――コンサートが表現の幅を広げてくれているのですね。今回のコンサートは、ご自身のお気に入り“プレイリスト”をドラマの曲など3つのテーマに分け、披露されるそうですね。
私が好きな曲、影響を受けた曲などを、洋楽邦楽問わずオリジナル曲からカバー曲までお届けします。『朝ドラメドレー』では『ゲゲゲの女房』や『まんぷく』の主題歌、さらに初めて朝ドラに携わらせていただいた『ちりとてちん』のテーマ曲と、3曲お送りします。また、今年1月から主演させていただいたドラマ、『アライブ がん専門医のカルテ』のテーマ曲も演奏します。腫瘍内科医という、患者さんに寄り添う繊細な役柄でしたが、演じることと演奏することは近くて、演じたらからこそ奏でられる音があり、両方させていただける喜びがありました。
――もうひとつのテーマが幼い頃からの思い出の曲で、気になるタイトル企画がありました!
『ノンストップ青春メドレー』をやります(笑)。10代の頃によく聴いていたのが安室奈美恵さんの曲。特に『CAN YOU CELEBRATE?』は大好きで、人前で演奏する喜びを教えてくれた曲です。他にもSPEEDさんの曲や、私が女優を目指したいと思ったドラマの主題歌など、みなさんもよくご存知の曲をメドレーにしたのでぜひ楽しんでください。
――さらに旅をテーマにした曲も集められるそうで、今年3月に放送された『みなしごゾウを守れ 松下奈緒のケニア感動物語』のテーマ曲も。これは色んな民族楽器の音色も聞こえる壮大な曲でした。
念願のアフリカで、朝から晩までみなしごゾウと一緒に過ごすなかで、母親ゾウのような気持ちになれた感動的な旅でした。その世界を表現したいと、ゾウの鳴き声を色んな楽器で試してみるなど、今まで使ったことのない音にもトライしました。私自身、旅が大好きですが今は海外へ行くことも難しいので、少しでも旅気分を味わっていただきたいです。
――この放送後あたりから世の中は変わっていきましたが、心境の変化などありましたか?
やっぱり自粛期間中は喪失感みたいなものがありました。ただ現場での仕事がいつ再開してもいいように準備だけはしておこうと思っていましたし、時間があるからこそツアーのことなど、色々考えることができました。やはりステージに立てる幸せがありますし、それは10年ほど共にしているバンドメンバーも同じだと思います。音楽はどこでも聴けるけれど、ライブの空間で楽しむことがいかに心の栄養になるのか、再確認できるツアーになる気がします。
――松下さんは兵庫県川西市ご出身ですが、関西は『帰ってきた』という感覚に?
はい、関西に戻ってくると意識しなくても関西弁になりますし、自分自身ツッコミがはやいときは、『関西人だな』と思いますね(笑)
――今回大阪からのスタートで楽しみですが、いつもコンサートで大切にされていることは?
遠くの2階席の後ろのお客様にまで投げかけるという意識は常に持っています。そうすることでダイナミックなパフォーマンスができ、リハーサルとは違うものが生まれます。これからも元気になっていただける音楽を、ダイレクトに届けられる人でありたいです。
TEXT:小野寺亜紀
★ INFORMATION
JAバンクpresents
松下奈緒 コンサートツアー2020 “PLAYLIST”
2020/09/19(土)15:00
東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
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