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2020/1/31

現代詩人・最果タヒ、京都文化博物館にて関西初の個展開催!

映画、WEB、広告、音楽、アート……
数々の新しい詩の運動をまきおこしてきた注目の現代詩人・最果タヒ、
京都文化博物館にて関西初の個展開催!

中学生のころからインターネット上で言葉を発表しはじめ、2006年に投稿作品が第44回「現代詩手帖賞」を受賞、翌年第一詩集を刊行し第13回「中原中也賞」に選ばれるなど、詩人として高い評価を得ている最果タヒ。一方でSNSの活用、作詞、詩集の映画化、商業施設とのコラボレーションといった幅広い活動によって若い世代もファンに取り込み、また、空間を使った作品発表を積極的に試みるなど、その多様な表現活動は近年より一層注目を集めている。

2019年2月に横浜美術館で開催された「氷になる直前の、氷点下の水は、蝶になる直前の、さなぎの中は、詩になる直前の、横浜美術館は。―― 最果タヒ 詩の展示」では、インスタレーションを発表。作品と受け取る側が相互作用的に響きあうことを重視した、詩を新たな方法で体感する展示は話題を呼び、約1ヵ月間で30,000人以上が来場した。
本展覧会ではこのインスタレーションと新作の展示を、新たなタイトルのもとに、重要文化財である京都文化博物館 別館ホール(旧日本銀行京都支店)にて展示。デザインは、これまで最果タヒの書籍の装幀をはじめ様々な企画でタッグを組んできた佐々木俊氏が担当。レトロで華やかな空間に、最果タヒの言葉がどのように展開していくのか……特別な鑑賞体験にぜひご期待頂きたい。

言葉が、わたしを飛び越える。
詩×アート、新たな言葉の体験。現代の感情=言葉を体感するインスタレーション!

スマートフォンで詩を書き、現代の感情を繊細かつ鋭く表現する最果タヒの作品発表の場は、本はもちろん、インターネット上にもとどまらない。
今回は「詩の展示」。読者が会場を歩き回り、空間全体で言葉を体感するインスタレーションである。なかでも、天井から多数の言葉が書かれたモビールを吊るす「詩になる直前の、京都文化博物館は。」は重要な作品の一つ。表裏に異なる詩の断片が記された、静かに揺れ動くモノトーンの紙片はいくつもの言葉の連なりを生み出し、その偶然から詩を切り取るのは読者自身だ。この展示を始め、最果タヒは書き下ろし作品を含む自らの詩を大胆に断片化し、空間いっぱいに展開。つまり会場にあるのは、作品があなたに読まれ、初めて意味を持つものであってほしいと願う、最果タヒによる「詩になる直前」の言葉たち。それらを追いかける体験を通して、自分の心が動く言葉やその瞬間、あるいは、目が「無意識に読んでいる」感覚に気付くような、言葉との新たな出会いが生まれるだろう。

最果タヒ メッセージ

言葉は、常に運動をしている。何億人もの人がその言葉を用い、それでいて、それぞれが少しずつ違った意味や印象を、言葉の向こうに見出している。だからこそ言葉は、刻々と変化し、運動を続けている。

わたし一人が、言葉を一方的に、道具として用いることなどできず、常に、言葉が抱える無数の意味や価値の渦に巻き込まれていく。そのコントロールのできなさ、言葉に振り回される瞬間に、わたしは「言葉に書かされている」と感じます。それは時に、わたしよりも深く「わたし」を捉える言葉となる、わたしを飛び越えた、別の何かへと変貌する言葉となる、それこそが、わたしにとっての「書く喜び」です。言葉がわたしの代弁者として、世界へ出ることなどありません。わたしはいつも置き去りにされ、それこそが痛快であるのです。

知らない自分に、言葉で会うこと。それは、自分の底さえ突き破り、その向こうの、自分ですらないものへと、繋がることだ。だからこそ言葉は、書かれ、他の誰かに読まれることをじっとじっと待っている。

詩の展示。
言葉が、わたしを飛び越える。
それは、「読む」瞬間もきっと同じです。読むことは、与えられた言葉を受動的に読むのではなく、その言葉を自分だけの言葉へと変容させていく行為だと思う。そのとき、言葉の変化は、読むその人の予想を、そしてその人自身を、時に追い越していくだろう。それは「書かれた言葉」のスピードであると、読み手は思うのかもしれない。けれど、あなたも加速している、あなたの言葉が、加速している。そのスピードを、肌で、気配で、空間として、感じられる場所を、私は「詩の展示」と呼んでいます。

われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。あなたしか立つことのできない確かな星から、どうか、言葉を見に来てください。

  

■最果タヒ(Tahi Saihate)[詩人・作家]
1986年生まれ。2008年、『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。2015年、『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』、エッセイに『きみの言い訳は最高の芸術』、小説に『星か獣になる季節』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』、作詞提供に[Alexandros]「ハナウタ」(2018)やLittle Glee Monster「夏になって歌え」(2018)などがある。清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では100首の現代語訳をし、翌年案内エッセイ『百人一首という感情』刊行。2019年8月発売の最新詩集『恋人たちはせーので光る』は発売後ひと月足らずで重版されるなど、より広い読者を獲得している。2017年のルミネのクリスマスキャンペーン、2018年に太田市美術館・図書館での企画展に参加、2019年に横浜美術館で個展開催、HOTEL SHE, KYOTOにて期間限定のコラボルーム「詩のホテル」をオープンするなど、幅広い活動が続く。最新刊は、48の「好き」なものについて綴った『「好き」の因数分解』。
公式サイト:http://tahi.jp/

■佐々木俊 [グラフィックデザイナー/アートディレクター]
1985年仙台生まれ、東京在住。2010年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。
アドブレーン、グリッツデザインを経て、2016年デザイン事務所AYOND(アヨンド)を設立。これまで最果タヒの複数の著書、展示環境のデザインを担当。その他の仕事として、NIKE吉祥寺店の店舗グラフィック、東京国立近代美術館「デザインの(居)場所」宣伝美術、連続テレビ小説『エール』タイトルロゴなどがある。参加展示として、2018年太田市美術館・図書館『ことばをながめる、ことばとあるく―詩と歌のある風景』がある。
公式サイト:https://sasakishun.tumblr.com/

最果タヒ展
われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。

日時:2020/06/17(水)~2020/07/05(日) ※月曜休館
10:00~19:00 ※入場は閉館の30分前まで
会場:京都文化博物館 別館ホール
金額(税込):
[前売]一般 ¥1,000/小学生 ¥600
2枚綴りチケット ¥1,800(一般のみ)
「挑む浮世絵」セットチケット ¥2,000(一般のみ、2枚組)
オリジナルミニ本付チケット ¥2,000(イープラス限定販売、一般のみ、限定枚数)
[当日]一般 ¥1,200/小学生 ¥800

展示会詳細はこちら

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