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最高キャストが再集結した、笑いと感動の舞台。「4人でダイナミックに物語を動かしていく」

2025/10/7

インタビュー

『大誘拐』〜四人で大スペクタクル〜

若者グループに誘拐された82歳の柳川とし子は、紀州随一の大富豪・柳川家の当主。彼女に百億円というケタ違いの身代金が要求されるが、その裏には驚きの真実が! 映画版も大ヒットした傑作推理小説を2024年に舞台化し、涙と笑いで観客を虜にした『大誘拐』が、同じキャストで再演される。中山優馬、柴田理恵、風間杜夫、白石加代子の4人のみで多くの役を演じ分ける〝大スペクタクル〟な最高エンターテインメント。柴田と風間に再演への想い、初共演となった白石加代子さんとのエピソード、演劇を始めたころの話など、たっぷり語ってもらった。

――2024年初演の舞台が早くも再演となり、大阪でも再び上演されます。

風間「再演を心から望んでいたので、実現して嬉しいですね。」
柴田「初演ではたくさんのお客さんが喜んでくださって、私たちは気持ちよく舞台をさせていただきました。また大阪でも上演できるのは、大阪の皆さんも喜んでくださったからだと思うのですごく嬉しいです!」

――4人のキャストで何役もされると伺いました。そのあたりがサブタイトルの「四人で大スペクタクル」に繋がっているのでしょうか。

風間「まさにこのタイトル通り、4人でダイナミックにお話を動かしていく――それこそが〝大スペクタクル〟です。」
柴田「そこが一番の見どころですよね。4人で何役もこなしながら、お話がダダダと進んでいく。本当に面白い本です。」
風間「細かい動きがあるけど、僕ら大きなトチリはなかったね。」
柴田「なかったです。危ういときはありましたけど(苦笑)。」
風間「出てなきゃいけないものが出てない、とかなかった。」
柴田「なかったです! 出てなきゃいけない人が出てない、とかも。」

――笑いに溢れた舞台なのでしょうか?

柴田「誘拐される、とし子おばあちゃん(白石加代子)と、誘拐犯の間にも笑いがありますし、私たちふたりの間にもね。」
風間「うんうん。」
柴田「風間さんはどんどんアドリブを出されて(笑)。お客さんに喜んでいただける〝エンタメコーナー〟みたいなのもあり、楽しませどころをいろいろ用意しています。」

――原作は天藤真さんが1978年に発表された推理小説。1991年には岡本喜八監督により映画化もされています。これを舞台に、と最初お聞きになったときは?

柴田「映画は公開当時拝見しました。この奇想天外なお話を舞台で、しかも4人でやると聞き、まず、面白そう!と思いました。」
風間「僕は、どんなふうに作るんだろうと思って。稽古初日、顔合わせや本読みの時点では、上演台本の量が多かった。それをみんなでコンパクトにする作業をやって、1時間50分ぐらいに縮まったんですよ。」
柴田「やりましたね。それがかなり大変でした。最初の台本での風間さんの台詞の量ときたら、声をつぶすんじゃないかと思うぐらい、たくさんありましたもん。しかも風間さん、稽古でもきちんと大きな声を出し、力を込めてやられるので、「声、大丈夫?」とドキドキしました。」
風間「(笑)。」

――それぞれの役柄についても教えてください。

柴田「私は奥様(柳川とし子)のことが大好きな元家政婦の「くーちゃん」で、自分の家に誘拐犯や奥様が住むことになります。私自身、白石加代子さんが大好きなので、その想いを重ね合わせるような気持ちで演じました。ほかにもいろいろな役があり楽しいです。白石さんが奥様の長男役もされるのですが、私がその妹役をやったり。風間さんは井狩大五郎役ですが、その奥様もやったりして。」

――風間さんは誘拐事件に立ち向かう和歌山県警本部長の井狩大五郎役以外にも、いろいろな役をされるのですね。

風間「そうです。誘拐犯は3人グループなのですが、中山優馬くんが演じる戸並健次以外の犯人ふたりを僕が演じています。演じ分けるために、ひとりは眼鏡をかけたり。」
柴田「衣装を着たり脱いだりとかも、やっていて楽しいです。お話はきちんと繋がっていきますが、きっと我々の遊び心がお客様に伝わるんじゃないかな。」
風間「僕ら演劇人ですから、やっぱり大筋のドラマにはきちっと戻らなければいけないのを分かっています。そうでなければ、ただのおふざけになってしまう。遊びも入れて、振り子があっちこっちに揺れても、ピシッとドラマに戻るのを心がけています。」

■「突拍子もない話だけど、ファンタジーとして見たら楽しめる」

――白石加代子さんが演じる82歳の柳川とし子が、物語のキーパーソンになってくるかと思うのですが、おふたりは白石さんとのご共演は?

風間・柴田「(前回が)初めてでした。」
柴田「私は高校生のとき、地元の富山にある利賀村の合掌造りの劇場で、早稲田小劇場におられた白石さんが出演された芝居を観て、「なんて素敵できれいな、神々しい方だろう」と憧れた大好きな方。そして「私も東京に行って、芝居をやりたい」と思わせてくれた女神のような方なので、そんな白石さんとご一緒できるのは夢のようです。」
風間「僕は子役の経験もあるのですが、学生演劇から本格的にこの仕事を始めて。最初に入った早稲田大学の「自由舞台」というサークルがあり、その先輩が早稲田小劇場を作ったんですよ。当時は喫茶店の上で〝早稲小〟がお芝居をやっていて。そこで白石加代子さんの『劇的なるものをめぐってⅡ』を観たときの衝撃はすごかった。」
柴田「すごい、あれを観てるんですね。うらやましい!」
風間「僕は2019年から毎年のように、唐十郎の芝居をやっていて、去年花園神社でのテント公演(新宿梁山泊『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』)に、中村勘九郎くん、豊川悦司さん、寺島しのぶさんたちと出演したんだけど、そのときに加代子さんが観に来られて。終演後の懇親会ではテントの桟敷に座っていました。」
柴田「唐さんの作品を、白石加代子さんが! すごい絵ですね。」

――稽古場や本番で、白石さんから刺激をもらいましたか?

風間「そりゃあ、もう。」
柴田「毎日の稽古、本番は舞台の袖からも見てましたが、やっぱり神だなと! あの方がすっと立たれると、空気がガバッと上がるぐらい素晴らしいです。白石さんが演じるとし子さんは、優しさやいろいろな想いが最後の方にワーッと見えてくるのが好きです。チャーミングに、押しつけがましくなく演じられています。」
風間「(とし子は)スケールの大きいおばあちゃん(笑)。」

――風間さんと柴田さん、お互いの印象についても教えてください。

柴田「私は20代のころ、風間さんが出ているつかこうへいさんのお芝居を観て、もう好きで好きで。風間さんの舞台を追いかけていたこともあったので、ドラマでご一緒したときはしつこくつきまといました(笑)。そんな方と舞台で共演できるのは幸せです。風間さんは稽古場でもステージでも、役者の鑑!」
風間「かいかぶりすぎ! ええ加減な役者やで。うちに帰って、本を開いたことないから(笑)。」
柴田「いえいえ。ステージの上で自由に遊んでらっしゃる風間さんに、「役者はこうあるべきだな」としみじみ感じます。お芝居を観に行っても、舞台に出ることが楽しくて仕方がないんだろうなと思わせてくださる。ご本人は大変なこともあるかもしれないけれど、お客様が100%楽しむために、ご自分が一番楽しんでいるところを見せてくださるのがすごいです。このお芝居でずっと一緒にいられるのが幸せです!」
風間「この人(柴田)は、やっぱり才能がある。こう、ずけずけと言っても、憎まれることもなく。大したもんだ。」
柴田「いやー、私のことは言わなくていいので!」

――3人に交じって、世代の違う中山優馬さんが参加されていますが、彼の印象は?

柴田「素晴らしいですよ。稽古初日から台詞が入っていて、日々研鑽を重ね、自由に動いて。彼がこの4人の中では一番しっかりしています。彼が演じる戸並と、おばあちゃん(とし子)との関係が親密になっていくところもすごく良かったです。」

――小野寺修二さんのステージングや、ポップな衣装などもポイントになりそうですね。

柴田「ステージ上がチェス盤のようになっていて、マス目からマス目までどう動くかなど、面白いな~と感心しましたよね。」
風間「うん。」
柴田「役者の生理も分かってくださる方なので、私たちのやりやすいように考えてくださって。シンプルだけれど、椅子をこうするだけで次の場面になるんだ!とか。チェス盤もパズルのような意味合いがあるのかなと思いますし、とても面白いですよ。衣装もおもちゃっぽい感じで、全部を楽しんでいただけると思います。」
風間「この物語はどこか突拍子もない話じゃないですか。それをファンタジーとして見たら、楽しめると思うんだよね。」
柴田「そうですね!」

――井狩大五郎やくーちゃんは、とし子に〝恩〟があるということで、おふたりにとっての〝恩人〟についてもぜひお聞かせください。

風間「本当にいい出会いをこれまで繰り返してきたので、今まで僕を支え、押し上げてくれた人たちみんなが恩人だけど……。キザなようだけど、一番の恩人って言ったらやっぱり、この世に生んでくれた両親ですね。」
柴田「あぁ、その通りですよね。」
風間「歳を重ねると、だんだんそういうことを考える!」
柴田「本当にそう思います。親がいてくれたから、この世に生を受けたわけで。あとはやはり、出会った方々全てが恩人ですね。」

――最後に大阪公演に向けて、メッセージをお願いします。

柴田「前回ご覧になられなかった方はもちろん、前回ご覧になった方も、また別の見え方ができると思うので、ぜひ楽しんでください!」
風間「必見です! 見損なったら人生の楽しみをひとつ失うくらい国宝級の……!(一同笑)」
柴田「本当に楽しめる、いいお芝居だと思いますので、気軽にご覧ください。」


取材・文:小野寺亜紀

 

『大誘拐』〜四人で大スペクタクル〜

■出演
中山優馬 柴田理恵
風間杜夫 白石加代子

■原作
『大誘拐』天藤真(創元推理文庫刊)
■上演台本・演出
笹部博司
■ステージング
小野寺修二

▶▶オフィシャルサイト




大阪公演

|日時|2025/11/07(金)~2025/11/08(土)≪全2回≫
|会場|サンケイホールブリーゼ
▶▶公演詳細

 

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