2025/5/2
公演レポ
――2025年のツアーが始まります。改めて今回、再演が決まったお気持ちを聞かせてください。
養田「またこうして上演できることが嬉しかったです。僕はもともとディズニー作品が好きでしたが、この作品に関わり「くまのプーさん」という作品が以前に増して大好きになりました。ただかわいいだけじゃなく、奥深さもある物語なので、子どもから大人まで楽しめる素晴らしい作品だなと実感しながら演じています。」
新田「私も再演が決まって嬉しい気持ちが一番にありました。私はピグレットを操演させていただいていますが、私たちキャストのプーさんたちへの気持ちはきっとクリストファー・ロビンの気持ちに近いものがあると思います。なので、またプーさんたちに会えることが本当に嬉しく、一緒にいられることが幸せです。」
――「くまのプーさん」のどんなところに魅力を感じていますか?
養田「僕自身は子どもの頃に観ていたわけではないですが、それでもどこか懐かしさを感じるところだと思います。子どもの頃に遊んだ思い出がふっと蘇るような、そんな感情になります。それから、プーさんが語る言葉はトンチンカンなように思える言葉も多いですが、その言葉に「思い込みではなく純粋にそこにある景色を見ることの素晴らしさ」を感じます。」
新田「私は小さい頃からプーさんに親しんでいたので、プーさんの世界にスッと入りこんでプーさんと一緒になって楽しんでいたことを思い出します。そして、大人になって、改めてプーさんの世界に触れると心が自然と昔に戻ります。いつでも迎え入れてくれる場所なんだなと感じました。」
――2024年からミュージカル「くまのプーさん」に出演していますが、演じる上ではどんな⼯夫をされていますか?
養田「パペットが主体になるべきだという前提で演じているので、その場に生きているプーさんを生み出せる楽しさがあります。通常の舞台だと自分の肉体を使って表現をしようとするので、どうしても主観が強くなってしまいますが、このミュージカルでは自分の体とパペットは全く違うということを稽古を通して感じ、客観的に見て演じられているのではないかと思います。」
新田「最初に操演を教えていただいたときに、プーさんの世界を我々が表現するというのが1番のミッションなのだと感じました。演じているとも操っているとも、また違った感覚があるんですよ。私はピグレット役ですが、ピグレットと自分の間に精神と体があるような感覚で。例えばパペットミュージカルとも腹話術ともまた違います。なので、初めてご覧になった方は驚くと思います。我々はステージに上がったら誰とも目が合わないんです。プーさんとピグレットは目が合いますが、役者としては合わない。何かがあったときにアイコンタクトを取ることはあっても、私たちが普段、出演している舞台と違って目で会話はしません。あくまでも、ピグレットとプーさんたちを通して会話しているというのが、このミュージカルの面白いところで、演じていてもそうしたところに魅力を感じます。」
――2024年公演を観劇して、不思議とキャストの皆さんが見えなくなって、プーさんやピグレットがそこにいて動いているように感じられましたが、まさにそうした意識があったのですね。
新田「それを目指していました。ただもちろん、大人のお客さまは目に入ることもあると思うので、そうしたときに、一生懸命やっている姿を感じていただくというのも楽しみ方の一つかなと思います。」
養田「僕の周りでも途中でキャストたちが見えなくなったと言っていただくことが多かったです。それだけみんなパペットに集中してくれたんだと思います。」
――あの愛らしい動きはどのように作り出しているのですか?
新田「パペットは表情が動かないので、どうやって笑顔に見せるのか、悲しい表情に見せるのかをやりながら見つけていきました。最初は歩くことすらままならなかったですが、稽古を重ねることで、どう感じたのか表現できるようになっていきました。」
養田「数度の角度で表情が変わるんですよ。稽古を続けていくうちに表現の幅がこんなにもあるんだと驚きました。」
新田「そうした研究ができたのはダブルキャストのよさでもあったと思います。」
養田「本当にそう思います。ダブルキャストは鏡なんですよね。」
新田「ダブルキャストの方が演じている姿を見て、かわいいなと思う瞬間を取り入れたり、どう動かしているのか教えてもらったり、一緒に切磋琢磨して作り上げていきました。同じ役を演じてはいますが、ライバルだなんて一切思ったことがないです。むしろ、相棒です。何かあったときに頼れるのはダブルキャストの方なので、⼆人でピグレットを作っていると思っていました。」
養田「おっしゃる通り、本当に相棒です。今回、プーさん役で新しく(仲西)陸くんが入ってくれますが、早速、「僕たちは鏡だから」と伝えました(笑)。実際の鏡で確認できることもたくさんありますし、鏡を見て自分で試すことももちろんありますが、舞台上では相棒の動きがとても頼りになります。」
――名古屋からスタートし、大阪、福岡、東京、埼玉、横浜と全国を回ります。ツアーの楽しみを教えてください。
新田「この作品で初めてミュージカルを観るという方も多いと思います。なので、毎日、新しいお友達が会場に来てくださいます。私も毎日、新鮮な気持ちでピグレットとしてステージに⽴てます。全国あちこちにお邪魔させていただくので、冒険して、旅⽴つという気持ちをリアルに感じられるのも楽しいですし、「この場所ではこうだったよね」と新しい発見もたくさんあります。初めての景色を毎日見ることができるというのが、ツアーの楽しみです。」
養田「駅が違って街並みが違っても、会場に入るとそこにはいつもと同じ100エーカーの森がある。それが面白いなと思います。でも、100エーカーの森は同じでも観ているお客さまの雰囲気は少しずつ違っていて、その時によって感じる空気が違うんです。そうした違いを感じながら、さまざまなところを回って、たくさんの方に会うことができるのは素晴らしい体験だなと思っています。」
――公演を楽しみにされている方にメッセージを。
新田「アニメーションや絵本で慣れ親しんだプーさんの世界を舞台でも皆さんに味わっていただける素敵な作品となっております。「実際に目の前でプーさんやピグレットが動いている」という体験ができる、そんな舞台です。子どもから大人の方まで楽しく、そして温かい気持ちをもらえる物語になっていますので、ぜひ100エーカーの森でお会いできたら嬉しいです。」
養田「昨年、初めて上演させていただき、プーさんたちのことを好きな方がこれほどたくさんいることを実感しました。ツアーで全国各地を回り、大好きな気持ちをみなさんと共有できるのも楽しみです。この100エーカーの森は、誰でもいつでも帰ってくることができる場所です。ぜひ100エーカーの森でお会いしましょう!」
[プロフィール]
養田陸矢(ようだりくや)
シンガー・俳優。2024年新作ミュージカル「ディズニー くまのプーさん」でくまのプーさん役として出演。
新田恵海(にったえみ)
声優・シンガー・俳優としてマルチに活動。2024年同ツアーにおいてピグレット/ルー役として出演。
新作ミュージカル「ディズニー くまのプーさん」
■脚本・演出
ジョナサン・ロックフェラー
■作詞作曲
シャーマン・ブラザーズ、A.A.ミルン
■追加作曲
ネイト・エドモンソン
■日本版演出補
岸本功喜
■翻訳
小島良太
■日本オリジナルキャスト
くまのプーさん:
養田陸矢/仲西陸
※ダブルキャスト
ピグレット/ルー:
新田恵海/石橋佑果/澤田美紀
※トリプルキャスト
ティガー:
風間由次郎/原田岳
※ダブルキャスト
イーヨー/オウル/ラビット:
鈴木たけゆき
カンガ:
渡辺七海/澤田美紀
※ダブルキャスト
クリストファーロビン:
飯田晴瑠/山領真織
※ダブルキャスト
▶▶オフィシャルサイト
|日時|2025/05/24(土)~2025/05/25(日)≪全6回≫
|会場|COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
▶▶公演詳細
|日時|2025/06/07(土)~2025/06/08(日)≪全6回≫
|会場|キャナルシティ劇場(福岡)
▶▶公演詳細
世界ツアーにて販売されていたぬいぐるみに加え、⽇本限定グッズと 2025 年ツアーから発売する新作商品が公開!
今年は、英語バージョンのロゴをあしらったデザインとなっており、 T シャツや普段使いもできる実⽤的なアイテムが追加となっております。
くまのプーさん、クリストファー・ロビンとその仲間たち(ピグレット、ティガー、イーヨー、カンガ、ルー、ラビット、オウル)が四季をめぐって楽しい冒険をするまったく新しいストーリー。⽇本公演では、⽇本⼈キャストがパペットを巧みに扱い演じ、歌う。このショーは、ロックフェラー・プロダクションとディズニーシアトリカル・グループが共同で制作した。 2021 年にニューヨーク市のシアターロウで世界初演。「とても⼼地よく魅⼒的」(タイムアウト)と「魅⼒的なパペットたちによる、新しくて楽しい舞台」(エンターテインメント・ウィークリー)などと海外のメディアが絶賛。
ニューヨークの後、ショーはシカゴで上演され、その後全⽶ツアーが開催。
2023年3⽉には、英国デビューを果たし、その後、全英ツアー、オーストラリア公演、オランダ/ベルギー公演、ブラジル公演、そして⽇本公演と世界各国で上演を重ねている。