2019/5/31
取材レポ
俳優・池田純矢が自ら劇作・演出を担い、2015年に立ち上げた
『エン*ゲキ』シリーズの第4弾『絶唱サロメ』が10月に東京・紀伊國屋ホールと大阪・サンケイホールブリーゼで上演される。
14歳でジュノンボーイ史上最年少準グランプリを獲得した池田は、スーパー戦隊シリーズ『海賊戦隊ゴーカイジャー』のゴーカイシルバー役で一躍人気者となり、その後は数々のドラマや映画、舞台で活躍。2019年1月クールの月9ドラマ『トレース~科捜研の男~』第1話にゲスト出演、さらには『痛快TVスカッとジャパン』ではイラっとさせるキャラクターを演じるなど、多方面で活躍している。
そんな池田のほとばしる才能を存分に味わえるのが、この『エン*ゲキ』シリーズで、脚本家、演出家、俳優と一人三役こなし、果敢に新作に挑み続けている。2015年7月上演の第1弾『君との距離は100億光年』では「物理(宇宙工学)」を、2017年1月上演の第2弾『スター☆ピープルズ!!』では「科学・化学」を、2018年4~5月上演の第3弾『ザ・池田屋!』では「歴史」を、そして、第4弾となる新作『絶唱サロメ』では、オスカー・ワイルドによって書かれた戯曲『サロメ』に着想を得て、古典×歌×エンターテインメントが融合した作品が作られる。
5月某日、大阪のカンテレ本社で会見が行われ、池田純矢が『絶唱サロメ』をPRした。
1893年にオスカー・ワイルドが発表した『サロメ』。この戯曲に池田が出会ったのは小学生の頃で、16~17歳の時に「声を出して読むとこんなに面白いんだ!」と戯曲の魅力に気付いたという。「『サロメ』は発表されてから、残虐さであったり、不道徳な内容と言われたりで、しばらくは上演が禁止されていたんです。でも、やはり戯曲そのものに力があって、残酷描写の中にある妖艶さや耽美なもの、その美しさは現代の我々にも通じるものがあるなと思いました。今回はこの『サロメ』をそのまま上演するのではなく、あくまでも原案の一つとして、不道徳とか残酷とか古典とか、そんな重たいイメージをなんとか王道のエンターテインメントにできないかという思いでオリジナル脚本に仕上げました」と製作の経緯を説明。
主演に迎えるのはロックバンド「SOPHIA・MICHAEL」のヴォーカルで、舞台、TV、映画など幅広いフィールドで圧倒的な存在感を放つ松岡充。池田は、『不届者』という舞台で松岡と共演したとき、運命的な出会いを感じたと振り返る。「松岡さんとの出会いは、僕の中でドカンと一発雷が落ちたような衝撃がありました。松岡さんの歌声に、歌詞や言葉が形になって目の前に現れるような、そんな印象を受けたんです。これをそのまま演劇にしたら面白いなと思い、妖艶な魅力のある『サロメ』という作品と、それまで別で考えていた演劇と音楽の融合を、松岡充というファクターを通すことで一つになったんです」と目を輝かせる。とはいえ、若干26歳の池田が松岡にオファーを頼むのには相当な覚悟もあったそうで、「僕は今26歳という若造なので、松岡さんに軽々しく『出てください』なんて言えないじゃないですか。だから、自分の出来る限りの誠意として、ご本人に伝える前に、この『絶唱サロメ』の脚本を先に作ったんです。そして、松岡さんに『この本を読んでください。この作品は松岡充でしか作れないから、もし断ったら、もう世に出ることはないですから!』と熱烈にオファーしたエピソードを披露。今回の舞台が実現したのは、そんな池田の思いと松岡に対するリスペクトがあったからということが明らかに。
さらに、「どんな世代が見ても楽しめるように・・・『エン*ゲキ』シリーズはそういう心持ちで、高尚なものではなくて、もっと簡単に、友達とカラオケやボウリング、遊園地に行くような感覚で来てもらいたいなと思うところから始めた企画ですので、『サロメ』という重々しい作品をエンターテインメントにしてやろうじゃないかと。また、今回は音楽がテーマになっていますが、ミュージカルでもなく、音楽劇でもなく、新しい形の音楽と演劇の融合ができれないいなと。“ライブエンターテインメント”と名付けさせていただきましたが、少なくとも僕はまだ見たことがない舞台。この融合が、お客さんにどう届くのかが非常に楽しみです」と熱くコメント。
最後は『絶唱サロメ』について、「基本的には娯楽作品ですので、単純に遊びに来てほしいです! 外国人の方が観光に来ていただいても、マンネリ化しているカップルのデートに使ってもらってもいいし、お父ちゃんが子供を連れて来てもいいですし。あまり構えず、すごく低い敷居なので(笑)、ひょいとまたいで来ていただけると、上演後、『楽しかったね~』と劇場を後にしていただける作品になっています。まずは劇場に足を運んで、演劇体験をしてください!」と力強くアピールした。